理学療法士に聞く!心臓リハビリテーションとは?

「心臓の病気になったら、安静にしていなければならない」、そんな風に思っていませんか?実際には、必ずしもそうではありません。心臓病を経験した方が体力を回復し、自信を持って社会復帰するために欠かせないのが心臓リハビリテーションです。今回は、心臓リハビリテーション指導士の資格も持ち、現在も臨床で活躍される理学療法士にお話を伺いました。

今回お話をお伺いした先生

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部理学療法学科 講師/理学療法士 河村知範 先生
大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)。専門分野は循環器理学療法学。研究テーマは「循環器疾患患者に対する臨床研究」ほか。理学療法士として岸和田徳州会病院での勤務を経て、2025年4月より現職。

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心リハは包括的な疾患管理プログラム

心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は、「心臓病の患者さんが体力を回復し、自信を取り戻して日常生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院の防止を目指して行う総合的プログラム」を指します具体的には、以下の要素をすべて統合したものを「心リハ」と呼びます。
 運動療法:心臓に負担をかけない最適な負荷での運動を指導する。
 学習活動・生活指導:病気や栄養などへの理解を深め、食事や生活リズムを整える。
 カウンセリング:生活スタイルをヒアリングして、患者さんの不安をケアし、精神的な回復を促す。

上記の内容を医師、看護師、理学療法士、薬剤師などの多職種で連携し、効果的なプログラムとして提案・実施します。理学療法士が行う運動療法のみを指すものではないのです。ただし、実施機関はまだ少なく、入院中に行うケースがほとんどで、外来での実施はわずかだそうです。
効果は、
・息切れなどの症状の軽減
・筋肉量の増加による動きやすさの向上と心臓への負担軽減
・動脈硬化の進行抑制
・自律神経の安定による不整脈予防 など
その結果、QOL(生活の質)が改善し、毎日をより快適に過ごせるようになります。

実はあなたも対象かも?心不全ステージ

心筋梗塞や狭心症など、特定の病名がついた場合に、心リハの健康保険適用となります。しかし、概念的な視点で見ると対象者はもっと広い範囲に及びます。その指標となるのが心不全ステージです。

ステージA:高血圧、糖尿病、肥満などがある。まだ発症はしていないが、動脈硬化が進行しやすく心臓に負担がかかり始めている段階。

ステージB症状はないが、心臓の構造に異常が起こる。

ステージCD息苦しさや病気の発症等、実際に心不全の症状が出現した段階。

病院にかかっていない高血圧の人も、概念上は心不全のステージAに含まれます。心リハの保険適用には、BNP(心不全の診断に用いる検査)などの基準があります。しかし、心リハで患者さんが受ける生活指導などは、実は予防としても非常に有効なものです。

※心不全:症候群のことで、心臓に何らかの異常が生じている状態。

理学療法士が行うリスク管理

心臓に不安を抱える患者さんにとって、身体を動かすことは再発作への恐怖も伴います。そこで重要になるのが、理学療法士による緻密なリスク管理。身体の動きだけでなく、服薬内容も把握した上で介入します。例えば、降圧薬を服用中の患者さんは運動しても血圧が上がらないため、知識が不十分だと「もっと負荷を上げられる」と誤判断し、心臓に過度な負担をかけるおそれがあります。

また、体組成計で筋肉量や脂肪量を測定し、食生活へのアドバイスも行うため、栄養に関する知識も求められます。より専門的な対応が必要な場合は、栄養士が介入することもあります。

「多岐にわたる知識が必要な分、勉強すると引き出しが増え、幅広いリハビリを提供できる。これがやりがいですね」と河村先生は話します。

心リハで理学療法士が行う運動療法

「特徴として、血圧や呼吸数、心拍数などの計測がとても多いですね」と河村先生。患者さん一人ひとりの状態をみながら、少しずつ身体を動かしていきます。
例えば、
・ベッドから座位に体勢を変える
・立ち上がる
・5メートル歩く
・歩行距離を伸ばす
・歩行速度を上げる
このように段階的に身体を動かしながら、その都度、計測を行うそうです。身体を動かすことが難しい患者さんには電動ベッドの角度を5度上げてみる、その角度を少しずつ大きくするといった介入を行うケースもあるのだとか。
普通に歩けるようになれば、自転車エルゴメーターを使用し、負荷を調整しながら運動を行います。「はぁ、はぁ」と息が切れる運動は、血圧や心拍数が上がっているため、心臓にとっては過剰な負担になります。息切れしない程度の負荷をかけるのが、心臓によい運動の目安です。患者さんによって異なるため、理学療法士は一人ひとりにあった介入をしていきます。患者さんは「思ったより動いていいんだ」という実感を積み重ねることで、少しずつ自信を取り戻していきます。

森ノ宮医療大学の実習室にある自転車エルゴメーター

動くことが、治る力になる—心リハという選択

心臓病の人に、適度な運動は有効です。筋肉量が増えると心臓への負担を補う働きがあり、逆に安静にしすぎると筋肉が落ち、負担が増します。
心リハの大きな目的は二次予防(再発防止)です。動脈硬化は全身の血管で進行するため、一度詰まった人は再発しやすいのが現実。リハビリ後も、その人の生活スタイルに合わせた運動継続を提案します。心臓病を経験した方が自信を持って社会復帰するためのプログラム、それが心リハなのです。

今回取材した河村先生にもご講演いただく市民公開講座を開催します!

2026年度 第1回 森ノ宮医療大学市民公開講座 開催概要

開催日時:2026年4月18日(土)10:00~12:00(受付9:30~)
開催場所:森ノ宮医療大学 イーストポート1階 コスモホール
テーマ :突然の心筋梗塞に今、備える―予防・診断と治療・回復への道―
基調講演:医療法人渡辺医学会 桜橋渡辺未来医療病院 副院長・心臓血管センター長 岡村篤徳
講演Ⅰ :森ノ宮医療大学 看護学部看護学科 教授/看護師 久木元由紀子
講演Ⅱ :森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部理学療法学科 講師/理学療法士  河村知範

詳細はこちら!

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【この記事を書いた人】

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はくまい

美味しいごはん(とお酒)が大好き!ごはんのために働き、ごはんのために眠る!!今日もカロリーと幸せを噛みしめ、数字より気持ちで生きる30代おなご。

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