【大型連休前に】座ることが原因!?エコノミークラス症候群にご注意を!

いよいよ待ちに待ったゴールデンウィーク。大型連休を利用し、旅行や帰省などの予定を立てている方も多いのではないでしょうか。そんな方にぜひ知っておいてほしいのが「エコノミークラス症候群」という病気です。場合によっては死に至る恐ろしい病ですが、その原因や対策方法についてご紹介します。

今回お話をお伺いした人

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部理学療法学科 講師/理学療法士 河村 知範 先生

神戸学院大学総合リハビリテーション学部卒業後、同大学大学院医療リハビリテーション学研究科にて修士号(医療リハビリテーション学)を取得、その後大阪大学大学院医学系研究科にて博士号(医学)を取得。理学療法士として岸和田徳洲会病院に勤務し、2025年4月より現職。

エコノミークラス症候群とは?

エコノミークラス症候群は「深部静脈血栓症(DVT)」と「肺血栓塞栓症(PE)」の総称です。なんだか難しそうな言葉ですが、簡単に言えば、長時間座ったままでいることで脚の血管に“血のかたまり(血栓)”ができてしまい(DVT)、それが血流に乗って肺の血管が詰まる(PE)※1ことで起きる病気です。長距離移動が発生しやすいこの時期、特に罹患者が増える傾向にあります。

血液は本来、全身をめぐって心臓に戻るしくみになっていますが、座位が続くと特にふくらはぎ※2に血液が滞りやすくなります。すると、その部分の血液が「淀む」ような状態になり、やがて固まり始めてしまいます。これが血栓です(ちょうどケガをした時にできるかさぶたが、血管の中で発生するようなイメージです)。

※1 心臓の血管は太く詰まりにくいため、肺に詰まる
※2 太ももやお尻など、大きな筋肉の血液は血管も太いため滞りにくいため血栓ができにくい

飛行機のエコノミークラスに長時間座っていると起こる…というのが由来ですが、座った姿勢が続き血流が悪くなることが原因のため、飛行機のみならず新幹線やバスなど乗り物に関係なく(デスクワーカーも!) 、4時間以上動かない状態が続くと、リスクが高まると言われています。
血栓が肺の血管に詰まると、命に関わる重篤な状態になることがあり、発症から数時間で命を落とすケースもあるため、決して軽く見てはいけません。

どんな症状が出る?

以下のような症状が、座っていた後に出た場合は要注意です。

  • ふくらはぎや膝の裏に痛みや腫れがある
  • 足がむくんでいる
  • 立ち上がったときに息が苦しい、動くとしんどい
  • 急な胸の痛みや背中の痛み
  • 呼吸が浅く、息切れがひどい
  • 意識がぼんやりする、倒れそうになる

こうした症状が現れたら、すぐに循環器内科を受診し「長時間移動をしていた」ことを医師に伝えましょう。もし本人が意識を失っている、呼吸が止まっているなどの状態なら、迷わずすぐに救急車を呼んでください

ちなみに、約8割の人は血栓ができても、自然に溶けたり肺で詰まることなく流れていったりするため、結果として無症状で済んでいるのだとか。それでも、発症すると適切な治療を受けられない場合は死亡率が高いため、原因となる血栓を作らないことが肝要です。

検査や治療の方法

医療機関では血中酸素飽和度(酸素の取り込み具合)の確認やレントゲンエコーCTなどの画像検査を行い血栓を探します。詰まっているのが確認されれば、血栓を溶かす薬を点滴投与したり、重症の場合は血栓を取り除くため開胸手術を行ったりすることも…。

時には命にかかわるため、予防のため対策をしっかり行いたいものです。次項では長距離移動中にエコノミークラス症候群にならないため、気を付けることについてお伝えします。

予防のポイント

せっかくの連休、楽しい旅の途中で体調を崩さないために予防のポイントをお伝えします。ほんの少しの行動で、エコノミークラス症候群のリスクは大きく減らせます

  • 1〜2時間に1回は体を動かす(立ち上がって歩くのが理想ですが、難しい場合は足首を動かす・かかとの上げ下げなどを定期的に行いましょう)
  • 水分補給をこまめに(カフェインやアルコールは利尿作用があり、逆に脱水を招くので注意)
  • きつすぎる服装や靴下は避ける

なお眠ってしまうと長時間座り姿勢が続いてしまうため、どうしても必要な場合を除き、睡眠導入剤の服用も控えた方が無難です。

どんな人がなりやすい?

エコノミークラス症候群は誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要な人もいます。以下に当てはまる方は、より意識して前述の予防のポイントを実施し血液の滞留を防ぎましょう。

  • 寝たきりや手術直後など、動く機会が少ない人
  • 過去に血栓ができたことがある方
  • 妊娠中や産後の女性(むくみやすく、水分量が多い)
  • 50歳以上の女性(ホルモンの影響で血流が滞りやすい)
  • 喫煙者、肥満体型の方
  • 糖尿病や高血圧などの生活習慣病の人

ちなみに最新の研究では、「O型以外の血液型の人は血栓ができやすい」という説もあるそう。血中の凝固作用などが影響していると考えられていますが、詳しいことはまだ分かっていません。とはいえ、気になる研究ですよね。

まとめ

長距離の移動が増えるこの時期、楽しい時間を安心してすごすためにも座りっぱなしには要注意ということを頭の片隅に置いておいてください。誰にでも起こり得るからこそ、“自分には関係ない”と思わないことが最大の予防です。素敵な旅の思い出をたくさん作ってくださいね。

ちなみに、人体の構造的に左足の血管の方が詰まりやすいそうです。
理由が分かった方や、この記事についてのご感想やご質問があれば、ぜひInstagramのコメント欄で教えてください!みなさんのコメントをお待ちしています✨

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