言葉が出てこない原因とは?医療機関へ受診すべき目安についてご紹介

「あの人の名前は何だっけ?」「昨日の夜ご飯は何を食べた?」と聞かれたとき、すぐに答えられず言葉につまる経験をしたことがある方は、筆者だけではないはず。
そこで今回は、「言葉が出てこない」症状の原因や改善方法、そして医療機関を受診すべき危険なケースについてご紹介します。

今回お話をお伺いした人

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部言語聴覚学科 准教授/言語聴覚士 戸田 淳氏 先生
川崎医療福祉大学大学院 医療技術学研究科 感覚矯正学専攻 博士課程修了(感覚矯正学)。15年以上にわたり、急性期・回復期病院で主に失語症や高次脳機能障害のリハビリテーションに従事。患者さんのQOL※向上をめざし、コミュニケーションの支援や評価・訓練を中心に臨床活動を行う。その後、母校での教育・研究を経て、2024年4月より現職。

※QOL:生活の質

医療機関の受診不要

CASE:ど忘れ
ど忘れは病気ではなく、日々の疲れやストレス、緊張などが原因で脳の情報を処理する働きが一時的に低下し、一部の記憶がすぐに思い出せなくなる症状です。睡眠時間も影響するため、しっかり体と心を休めましょう。

-年齢の影響はある?
年齢を重ねると、脳の中の記憶を呼び出す経路が細くなってしまい、どうしても思い出しにくくなるそうです。
一時的なものでも年齢によるものでも、できれば改善したいですよね。脳は使えば使うほど活性化されるといわれています。日頃からトレーニングを続けることで、言葉や記憶を呼び出す力が向上します。

-今日からできる!脳の活性化トレーニング
ここでは戸田先生おすすめの、脳の活性化トレーニング法をご紹介します。

①複数の感覚を使って記憶
目で見たり耳で聞いたりしたことを、日記などに書きとめると記憶に残りやすくなります。
②繰り返し思い出す習慣づけ
「思い出そうとする」こと自体が脳を活性化させるため、繰り返しするとトレーニングになります。
③パズルゲーム
クロスワードや数独といったパズルゲームは、楽しみながら語彙力や記憶力を鍛える効果があるとの報告があります。

医療機関の受診が必要な病気

CASE1:認知症
認知症は、言語・記憶・注意・判断力が徐々に低下する病気です。主な原因にアルツハイマー病があり、脳内に異常なタンパク質が蓄積し神経細胞の働きが落ちていきます。ご本人が自覚しにくいことが多いため、ご家族や周りの方が気づいてあげることが重要です。また、認知症は進行をとめることは難しく、薬やリハビリで進行をゆるやかにしていきます。近年では研究が進み、2023・2024年と新薬※が日本で承認されていますので、今後の研究にも期待ですね…!

※アルツハイマー病が原因の認知症患者さんに適応

-ど忘れと認知症の違い
ど忘れが何度も起きると、「もしかして認知症では?」と不安になる方もいるでしょう。見分け方を参考にしてみてください。

CASE2:失語症
失語症は言語障害の一種で、話すだけでなく、聞く・読む・書く・数字の理解も難しくなります。その一方で、絵を描くなど、言語を必要としない力や状況判断能力は保たれている場合が多いとされています。主な原因は、脳卒中が圧倒的多数ですが、稀に交通事故などで頭部を打ち、脳の左側にある言語中枢(ブローカ野・ウェルニッケ野)を損傷した場合にも発症することがあります。例えば、自転車などで転倒したときは何も症状がなくても、その後言葉が出にくくなってきた場合はすぐに医療機関へ受診しましょう。
<関連記事:脳卒中を知る!-脳を守るには、時間が最も重要だ!!

-治療法は?
失語症は、完全に元の状態へ回復することが難しい場合がありますが、適切なリハビリを継続することで、言語機能は少しずつ改善していきます。リハビリの内容には、絵カードを使う言語訓練や、単語を並べて作文する構文訓練などがあります。戸田先生はリハビリを担当する中で、失語症の患者さんは“伝わらない”ことにイライラを感じている方が多いので、少しずつ自分の言葉が伝わっていく成功体験を感じてもらうことを大切にしているそうです。

CASE3:健忘症
健忘症は記憶障害の一種で記憶そのものが失われている状態ですが、認知症と違い予測できない行動をとったりすることはなく、注意力や判断力は保たれています。主な原因は失語症と同じく、脳卒中や頭のケガなどですが、損傷部位が異なり、脳内の記憶の司令塔である「海馬」が傷つくと、健忘症が起こることがあります。健忘症の場合も認知症と同様、ご本人が自覚しにくいことが多いため、ご家族や周りの方が気づいてあげることが重要です。

-治療法は?
健忘症も完治は難しいですが、リハビリでできることを増やしていきます。例えば、スマートフォンのアラームで開始時間を知らせ、自分でリハビリ室へ向かう。この行動自体が訓練になります。 また、毎日少しずつ日記を書き、前のページを見ながら昨日のことを思い出す方法もあります。健忘症の方は、自身が記憶を失っていることを自覚しにくい場合があります。そのようなとき、戸田先生は自尊心を傷つけないよう配慮しつつ、症状をわかってもらう声かけを心がけているそうです。

少しでも気になる場合は相談しましょう!

日常生活に大きな問題がなくても、不安なときは1人で悩まず、ご家族や周りの人に相談したり、医療機関の「もの忘れ外来」を受診したりしてみましょう。不安が大きくなるとストレスがたまり、さらにど忘れが増えるなど悪循環に陥ることもあります。不安を抱え込むより、まずは相談や受診という行動を起こすことが大切です!

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【この記事を書いた人】

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コーヒーソムリエ

コーヒーがあるとき~(^^)ないとき~(_ _)の生粋の大阪人。保幼小の教員免許をもつ子ども大好きフルタイムワーママ。

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