私たちは日常生活の中で、視力の見え方の変化、ちょっとした目の違和感を覚えることなどがあります。
しかし多くの場合、「なんとなく不便だけど、まだ大丈夫」と受診を後回しにしてしまいがち。ただ実際には、見え方の異変に気づく頃には手遅れになるほど進行しているケースも多いそうです。
今回は視能訓練士の方への取材をもとに、さまざまな目のトラブルとその対策についてご紹介します。
今回お話をお伺いした人
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター 視能訓練士主任/視能訓練士 十河 響子さん
2005年大阪医療福祉専門学校視能訓練士学科を卒業後、眼科専門病院に11年間勤務。
一般眼科検査を始め、斜視弱視・円錐角膜・屈折矯正治療や多焦点眼内レンズなど幅広い業務に従事する。2015年認定視能訓練士取得。2016年より大阪急性期・総合医療センターに勤務、2025年より現職。
視力が落ちる理由は「ピントの合う位置」が変わるため
視力低下の原因のひとつに屈折異常があります。
屈折異常とは主に、ピントが眼内の適正な位置(以下、正視)からズレることで起こります。
正視を基準に、どうズレたかによって視力低下の原因は主に3種類に分けることができます。
遠視:正視より遠く(網膜の後方)にピントがズレた状態。近くだけでなく、遠くを見るときにも調節が必要になるため、眼精疲労が起こりやすい。
近視:正視より近く(網膜の前方)にピントが合っている状態。緑内障や網膜剥離のリスクが高まる。
乱視:目の角膜や水晶体の変形によってピントが1つに定まっていない状態。
主な視力低下の原因
人間の目は、正視の方であれば5mほど遠くを基準にピントが合っています。
ところが、近くを見るという環境へ適応するために、「軸性近視」という眼球の長さが伸び物理的に近視になる症状があります。
これはまさに、目の現代病といえますね(※)。
※子どもも成長に伴い、眼球の長さが変わります
軸性近視
30・30・20ルールで目を守る
近距離を見る作業が続くと、目の筋肉は緊張し続けてしまいます。
そこで役立つのが30・30・20ルールです。
「30センチ以上離した距離で30分見たら、20秒遠くを見る」というシンプルな内容ですが、短い休息を挟むことで目の負担を減らすことができます。
私もついついスマートフォンに熱中し、気づけば30センチより近くで見ていることも…。
意識的にしっかり目を休ませてあげましょう。
子どもと大人の視力矯正の違い
目のプロである視能訓練士には「子どもに眼鏡を使わせてもよいのか」という質問もよくあるそうですが、十河さんは「日常生活に支障が出るのであれば眼鏡を使うべき」と話します。眼科を受診し、適切なものを選んであげましょう。
またそもそも近眼を防ぐため、1日2時間以上の屋外活動が推奨されています。
なお最近では、子供の近視進行の抑制が期待できる低濃度アトロピン点眼や子供用多焦点レンズといった治療法も登場し、日本人の近視増加をいかに予防していくのかが課題となっています。
一方、大人の場合は低下した視力が自然に回復することはありません。
白内障手術の際にレンズを入れ替えることで視力が改善するケースはありますが、基本的には眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正が必要になります。
最近ではレンズを就寝時に装用することで視力を矯正、日中は裸眼で過ごすことができるオルソケラトロジーという矯正方法も。
実は私も数年前から行っており、とても快適に生活しています。
カラコンによる目のトラブル
近年、若い世代で増えているのがカラーコンタクトレンズ(以下、カラコン)によるトラブルです。
その原因として、
・眼球の形に合わないものを使用する
・1日用のレンズを数週間使い続ける
・洗浄液を使わずに保管する
・寝るときも着用したまま
といった、聞いているだけで心配になる内容があるのだとか。
また、通販や雑貨店で扱われているレンズには、医療用として登録されていない色素が使われていたり、目に十分な酸素が届かない性能だったりと、使用に不安を覚えるものも存在します。
こうしたレンズを使用すると、色素が溶けだし目に付着したり、感染性角膜炎などのトラブルを引き起こしたりし、最悪の場合は失明につながることもあります。
安全のために、高度管理医療機器として認可されているレンズを眼科で処方してもらいましょう。
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ブルーライトカット眼鏡の効果は?
ブルーライトの影響については議論が分かれています。
ブルーライトは目に悪いイメージですが、同時に脳の覚醒を促す波長のため、日中から完全に遮断する必要はないという意見も。
特に子どもには、波長をカットすることで近視を助長する可能性があるとし、眼科学会でも推奨されていません。
十河さんによると、寝る前にスマホを使用しないのと同じような感覚で「寝る前に使用するとよいのでは」という程度で、視能訓練士として特別推奨するものではないとのことでした。
なお画面の背景を暗くする「ナイトシフトモード」も目の疲れ防止にはいいそうで、十河さんも設定しているそうです。
最後に
十河さんは「目を守るため定期的な検査を」と話します。
眼球は唯一、血管を直接見ることができる臓器であり、眼底検査によって糖尿病が発見されることも。
普段から眼科で検査を受けていれば、病気の早期発見や事前にリスクを把握できる場合もあります。
ある日突然、何も見えない状態になってしまわないよう、日ごろから目の健康を意識していきましょう。
地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター
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1955年1月、11の診療科、病床数330の「大阪府立病院」として開院。2003年10月、病院名を「大阪府立急性期・総合医療センター」に変更。2006年4月、地方独立行政法人大阪府立病院機構設立に伴い、大阪府から事業移行し、現在に至る。各種センターの開設等、高度な専門医療が提供できる環境を整え、多様化するニーズに応えている。2010年からは森ノ宮医療大学と連携協定を締結し、高度な医療・医学教育を共有し、保健医療・看護・健康増進・福祉等にかかわる地域課題に積極的に取り組んでいる。
所在地 | 大阪市住吉区万代東3丁目1番56号
病床数 | 865床
診療科 | 総合内科・感染症科、呼吸器内科、消化器内科、心臓内科、糖尿病内分泌内科、腎臓・高血圧内科、脳神経内科、免疫リウマチ科、血液・腫瘍内科、小児科、新生児科、精神科、皮膚科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、呼吸器外科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、産科、婦人科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉・頭頸部外科、形成外科、歯科口腔外科
急性期医療部門 | 救急センター(TCU)、脳卒中センター(SCU)、心臓血管センター(CCU)、救急初期診療センター(ER部)、小児医療センター(NICU・GCU)、四肢外傷治療センター
高度医療センター | 腫瘍センター、消化器内視鏡センター、肝がん治療センター、糖尿病・生活習慣病センター、腎移植センター、大阪難病医療情報センター、パーキンソン病治療センター、関節リウマチ・バイオサポートセンター、乳がん治療・乳房再建センター、低侵襲心血管治療センター、人工関節センター、子宮筋腫治療センター、子宮脱治療センター、前立腺がん治療センター、IVRセンター、PET核医学センター、遺伝診療センター、生殖医療センター、総合リハビリテーションセンター
<大阪急性期・総合医療センター公式WEBサイト>
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【この記事を書いた人】
カツオ
三度の飯より釣りが好き。三度の飯は麺が好き。な元サッカー審判員(ギリギリ30代のアラフォー男)
