風が当たっただけでも痛い!?こわい痛風にならないために

2024.10.17

筆者のデスクの正面に、今年29歳になる若手職員が座っているのですが、ある日その職員が足を引きずりながら出勤してきました。聞くと「痛風」の発作だとのこと。しかもまだ症状が軽いそうで、医師からもっとひどくなる可能性もあると言われ、戦々恐々の様子…。今回はそんなこわい痛風について、内科の先生へお聞きしてきました。

今回お話をお伺いした人


森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部 言語聴覚学科 教授、森ノ宮医療大学附属 大阪ベイクリニック 副院長/医師 松尾 安希子 先生

森ノ宮医療大学附属 大阪ベイクリニック

痛風とは?

痛風は、血液中に含まれるプリン体から代謝された尿酸が、腎臓(尿として)などから排出できる量を超え体内で結晶化し、関節に沈着し腫れや痛み(痛風発作)を引き起こす疾患です。足の親指や膝、手足などの関節に症状が出ることが多く、この痛みが冒頭に述べたように耐え難いほどの激痛だと言われ、歩くことも困難になるほどだとか…。

一般的に血中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症とよばれる状態で痛風のリスクが高まり、高血圧や糖尿、メタボリック症候群などの合併症があれば 8.0mg/dL以上で、合併症がない場合は9.0mg/dL以上で投薬治療が開始される目安となります。
またこの高尿酸血症の状態が続くと痛風発作だけでなく、関節に結節と呼ばれるこぶ(痛風結節)ができ、場合によっては関節の変形や骨が破壊されたりすることがあります。

痛風の患者さんは合併症として腎不全・心不全・動脈硬化を併発する可能性も高く、次に述べる治療や対策が必要とされます。
なお日本国内に高尿酸血症の方は1,000万人ともいわれ、年齢関係なく男性に多い傾向にあるそうです(ブルブル…)。健康診断や人間ドックなどで判明することが多いそうですが、尿酸値が検査項目に含まれていない場合もあるので、意識的に確認するようにしましょう。

治療方法

痛風発作による痛みがある場合、非ステロイド系抗炎症薬(いわゆる解熱鎮痛剤)やステロイドなど消炎効果がある投薬治療がまず行われます。その後、血中尿酸値を下げるため尿酸の生成を抑える薬や、排出を促す薬を服用することになります。

この際、痛風発作による痛みがなくなると服薬をやめてしまう方が多いそうですが、そもそもの原因となる尿酸が減少したわけではないので、いつ再発してもおかしくない状態です。自己判断による服用中止は避け、医師の指示を仰ぎましょう。

また既往歴がある場合、人によっては痛風発作の前兆(ムズムズとした違和感など)を感じることもあるそうです。発作の予防目的でコルヒチンという内服薬を処方されることがあるので、医師に相談するのもよいでしょう。

プリン体を多く含む食品

尿酸の基となるプリン体は、ほとんどの食品に含まれ身体に摂取されていますが、肉や魚(特に内臓)・干物・乾物・魚卵などに多く含まれます。うま味成分でもあるため、酒の肴になるおいしいものに多く含まれています…(下表※)。
1日の摂取限度は400㎎といわれているため、単にプリン体を多く含む食品を避けるのではなく、栄養バランスを考え適度に摂取することが肝要です。
またプリン体は水溶性のため、茹でる・煮ることで摂取量を抑えることができます(煮汁を飲まない場合)。

※100gあたりの含有量であることにご注意ください

栄養についての記事はこちら

アルコール飲料、特にビールも尿酸値が上がる要因になると聞き、控えている方も多いかもしれません。しかし注意いただきたいのは、実はアルコールそのものに尿酸値を上げるはたらきがあることです。
加えてアルコール飲料に含まれるプリン体の量も、種類によって差があります。ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は醸造酒に比べてプリン体が少ないため、お酒が好きな方はこちらをおすすめします。また最近はプリン体をカットしたものも販売されていますので、それを選ぶのも一つです。

対策・予防方法

痛風にならないためには、まずは尿酸値を上げないことが大切です。
前述の食生活に加え、水分をこまめにとる(1日2L以上の水分摂取を推奨)、適度な運動を行うようにしましょう。また最近は尿酸値を下げるサプリも多く販売されていますので、うまく活用してください。
そして何より肝心なのは、定期的な健康診断で自身の状態を把握しておくことです。自分は大丈夫…と思っていると、ある日突然、痛みで歩けなくなってしまうかもしれませんよ…。

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<森ノ宮医療大学附属 大阪ベイクリニック>


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