歯の土台がなくなる…歯周病をコントロールせよ!

「歯周病菌とたたかう~」
テレビを見ているとよく目にするCMですが、そういえば歯周病ってどんな病気なんだろう…。と、いうことで今回は歯科医師の先生に、歯周病について詳しくお聞きしてきました。筆者は3か月に1回、歯医者に通っていましたが、お話しをお聞きし大切な習慣だったことを知ると同時に、全人類に歯医者へ通うことをお勧めしたくなる内容でしたので、ぜひご一読ください!

今回お話しをお聞きした人

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部 学部長、副学長
教授/歯科医師 森谷 正之 先生

大阪大学歯学部助手、大阪大学大学院 歯学研究科講師を経て2008年に森ノ宮医療大学へ入職、2022年より現職。いつからか定番となった、入学式で行う大学最初の授業が新入生・保護者の人気を博す。

歯周病って?虫歯と違うの?

お口のトラブルとして、虫歯と歯周病はよく耳にする病気ですが、どちらも口中の菌を原因とした感染症ではあるものの、原因菌や発生機序、引き起こされる症状が異なります。
簡単にまとめると次のとおり。

歯周病
原因:ポルフィロモナス・ジンジバリスや、トレポネマ・デンティコラなどの「歯周病菌」が原因
症状:歯周病菌が出す毒素で歯肉、セメント質、歯槽骨といった歯の周りの組織(土台部分)が破壊され、結果として歯肉からの出血、歯の動揺(ゆれ)や脱落(歯が抜ける)が起こる
虫歯
原因:ストレプトコッカス・ミュータンス、いわゆる「ミュータンス菌」が原因
症状:ミュータンス菌が出す酸でエナメル質、象牙質といった歯そのものが破壊される

歯周病と関連する疾患

①心疾患・脳血管障害
歯周病菌(トレポネマ・デンティコラ)のDNAが、動脈硬化を起こしている血管内壁から検出されたという研究報告もあり、歯周病菌が心疾患や脳血管障害に関連している可能性が示唆されています。
②糖尿病
詳しい機序は明らかになっていませんが、糖尿病と歯周病は相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆されています。
③誤嚥性肺炎
歯周病菌は誤嚥性肺炎の原因菌であると言われています。健常であれば免疫の働きにより大きな影響は出ませんが、誤嚥を起こしやすい(身体が弱っている)状態の際は注意が必要です。

誤嚥について詳しくはこちら:【あかん、変なとこ入った!】「むせ」ってなんで起こるの!? 

歯周病は、それだけでも怖いのに、関連した病気がこんなにも…。やっぱりしっかりと歯みがきをしないとダメだと思わされますね。次項ではそんなセルフケアについて、お話しします。

完治は困難。うまくコントロールすることが大切

歯周病菌は、衛生状態が悪化した口中で歯や、歯と歯肉(歯ぐき)の境目(ポケット)などで繁殖し、歯垢(プラーク)を作り出します。プラーク1mgの中には数億個の細菌が存在し、その中に歯周病菌が多く存在すると言われています。さらにプラークは、放置すると歯石に変化し、より強固に歯に付着してしまいます。
歯周病菌を口中から完全に取り除くことは不可能なので、適切にプラークを取り除き、歯周病菌が増えすぎないようコントロールすることが大切です。
なお正常な状態ではポケットの深さは2~3mm程度ですが、歯周病が進んだ方だと6mmにもなります。
歯医者さんで歯ぐきをチクチクされた経験がある方は多いと思いますが、あれはこのポケットの深さを測り、さらに出血の有無を確認して、歯ぐきの状態を評価しているんですね。

セルフケアとプロ(歯科医師)によるケアでバランスよく

セルフケアとしてのブラッシングやフロスだけでは十分なケアは行えません。実際、歯科医師である森谷先生も定期的に歯科医院に通い、専門家のケアを受けているそう。
それでも日常でできるケアの第一歩として、「自分でできるケアの状態を把握することが大切」と森谷先生は言います。具体的には歯垢検出剤(歯垢が残った部分に色がつくアレです!服を汚さないように気を付けて!)を用いて、歯ブラシが届いていない場所を知り、意識的にケアを行うことです。
なんとなく行う歯磨きと、歯垢が残りやすい部分をきちんと意識した歯磨きでは、効果に差が出ることは明白ですね、ニコッ(白い歯)。

まとめ

もともと口の中がスッキリするから、という気持ちで通いだした歯医者でのクリーニングですが、実はそれ以上の大きな効果があったことを知り、昔の自分にご褒美として甘いものをあげたい気持ちになりました。
え、何をあげるかって?もちろん歯垢検出剤です。甘くておいしいので、小学生の授業で使う時は、こっそり2個食べていたくらいですから…。

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