“食欲の秋”ってホント?そのメカニズムと食べ過ぎ防止方法のご紹介

暑い時期には食欲が湧かなかったのに、最近涼しくなってきてなんだか食べ物ばかりに目がいく…食欲の秋だもんな~なんて思っている方いらっしゃいませんか?人はなぜ涼しくなると食欲が増すのか?そのメカニズムを知って、これからの時期の食べ過ぎを防止しましょう。

今回お話をお伺いした人

森ノ宮医療大学 医療医術学部鍼灸学科 教授 附属鍼灸臨床センター長/はり師・きゅう師 鍋田智之 先生
明治鍼灸大学卒業後、明治東洋医学院専門学校専任教員、大阪医療技術学園専門学校鍼灸学科夜間部学科長、同東洋医療技術教員養成学科学科長、森ノ宮医療大学保健医療学部(現 医療技術学部)鍼灸学科教授・学科長を経て現職。学生時代は生理学教室で学び、生理学・臨床鍼灸学を中心に長年はり師・きゅう師養成校の教壇に立つ。現在は睡眠障害に対する東洋医学的セルフケアの効果を中心に研究している。また、メディカル・スポーツトレーナー研究会の代表として学生を指導している。※取材時

“食欲の秋”ってホント?なぜ涼しくなると人は食欲が増すのか

“食欲の秋”とは、秋の快適な気候や豊富な旬の味覚によって、自然と食欲が旺盛になる季節やその状態を表す言葉ですが、これは本当なのでしょうか?
―結論としては、「本当です!」と鍋田先生。ではなぜ人は涼しくなると食欲が増すのでしょうか?

・基礎代謝と熱エネルギーが鍵
人は生命を維持するために常にエネルギーを必要とし、安静・覚醒時に消費される最低限のエネルギーを基礎代謝量といいます。基礎代謝量の半分以上は、体温を維持するための熱エネルギーとして使われます。
体温(皮膚表面温度約36℃)を一定に保つには、体内で作られる熱と体から失われる熱が等しくなければなりません。皮膚表面と外気の温度差が大きいほど熱は奪われやすく、例えば体温が36℃、外気が20℃なら16℃分の熱が失われます。そのため、気温が低い季節ほど体はより多くの熱エネルギーを生み出す必要があります。

・熱エネルギーを作るために「食べる」
熱エネルギーの源となるのは、糖質・脂質・たんぱく質などの栄養素です。人は食事からそれらを摂取しているため、気温が低下して熱の消費が増えると、食欲が増すのは自然な反応といえます。
また、体表面積が大きいほど熱が逃げやすいため、基礎代謝量は体表面積に比例するとされています。人は熱の損失を防ぐため、手足の血管を収縮させて皮膚の表面温度を下げたり、衣服で暖かい空気をまとい、空気に触れる面積を減らすことで熱が奪われるのを抑えているのです。

・暑い時期は逆の現象も…
では逆に暑い時期に“夏バテ”になるのはなぜでしょう。夏は皮膚の表面温度と空気の温度差が少なくなります。また湿度も高いため、皮膚から汗などが蒸発しにくくなって体内に熱がこもってしまいます。体温を一定に保つためには体内で作り出すエネルギー量を抑える必要があるので、食事や運動量が減ります。このように体は余分な熱エネルギーを作り出さないように、代謝を抑える体制に入ることで、食欲があまり湧かなくなるという仕組みになっているのです。

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これからの時期に気を付けたい!食べ過ぎ防止の方法

「体が欲しているのなら、秋冬はたくさん食べてもいいんだ!」と思ったそこのあなた。それは間違いです…食欲を感じた分だけ食べていると、代謝で消費する以上の栄養を取り込むことになり貯蓄に回ります。 そして、それは“脂肪”に変わります!
では、どうすれば必要なだけ食べることができるのでしょうか。次のポイントに気を付けてみてください。

食べ過ぎ防止のためのポイント

① 30分以上かけてゆっくりよく噛んで食べる
 人の脳は食事を始めてから約30分後に満腹感を感じるようになっています。コース料理など2時間くらいかけて食べるとき、そんなに量は食べていないのに、メインの前にお腹いっぱい…なんて経験はありませんか?少なめかな?と感じてもゆっくりよく噛んで食べることで量も抑えられ、胃腸にも優しくなります。また味覚を楽しむことで、満足感が得られやすくなります。

② ストレスを溜め込まない
 ストレスが溜まったとき、“やけ食い”でストレス発散している人はいませんか?人はストレスを感じると、脳内のオレキシンという物質が増えて食欲が増します。ちなみにオレキシンは、国際的に評価の高い医学賞「ラスカー賞」を受賞された日本人の先生が発見されたもので、不眠の原因と関わりがあるとも指摘されています。眠れない、夜食が欲しくなる、昼に甘いものが食べたくなる…という方、ストレスをため込んでいませんか?ぜひ食べる以外の方法で発散してみてください。

鍋田先生からのメッセージ

代謝は年齢や性別、体格によって異なります。つまり、必要な熱エネルギーは人それぞれということです。夫婦間でも妻が「私ダイエットしているから一緒のものを食べて」と夫に言っても、夫が必要なエネルギーは妻より多いことがほとんどなので、妻より夫が先に痩せちゃう…なんてことも。人とは比べないで自分の適量の食事量を理解して健康的な食生活を整えましょう。
また、現代人はスマートフォンの見過ぎやストレス、空調の使用などにより自律神経が乱れ、食べ過ぎに繋がっていることがあります。鍼灸の起源となっている東洋医学では、人は自然と一体である(天人合一:てんじんごういつ)という考えがあり、四季の移り変わり、気候、昼夜のサイクルなどが、私たちの心身の健康や状態に大きな影響を与えるとされています。季節によって変化する食欲や食習慣なども考慮して、東洋医学では「治療」だけでなく「食養生(毎日の食事を通じて体を整える)」も重要と考えられています。皆さん、正しく“食欲の秋”を楽しんでくださいね。

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kuwapan

お酒が全く飲めないのに、何軒もハシゴして美味しい物を探すのが大好きな一児の母。

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