「推しがいるから頑張れる」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。好きなアーティストのライブを楽しみに勉強や仕事を頑張ったり、好きな作品から元気をもらったりすることもあります。
推し活とは、自分が好きな人物やキャラクター、作品などを応援する活動のことを指し、今や多くの人にとって生活の一部となっています。
そのような「好き」の気持ちが持つ力は、医療やリハビリの現場でも注目されています。今回は作業療法士の先生から、推し活が人を支える理由についてお話を伺いました。
今回お話をお伺いした方
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(先生の推しである岡村靖幸さん風に撮影させていただきました)
森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部 作業療法学科 助教/作業療法士
上野慶太 先生
大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科 博士課程修了(保健学)。専門は身体障害作業療法、老年期作業療法、神経生理学。研究テーマは「慢性疼痛における脳波活動の特徴解析」ほか。作業療法士として社会福祉法人みささぎ会藤井寺デイサービスセンターでの勤務等を経て、2025年4月より現職。※取材時
推し活がもつ効果
実は筆者も娘がとあるキャラクターを好きになったことで、一緒にキャラクターや歌を覚えたり、ダンスを踊ったりと、人生で初めての推し活をしています。
娘の成長を間近で感じることもでき、とても良い時間だと思えていますが、推し活には心や生活に良い影響をもたらす可能性が秘められています。
ここでは、代表的なメリットを3つ紹介します。
①ストレス緩和
好きなものの映像を見る・音楽を聴く・イベントを楽しみに待つ――
こうした時間には、ストレス緩和効果があります。
「好き」に触れている時間や気持ちが、リフレッシュにつながります。
②ドーパミンが分泌される
アニメの新作やライブなど、楽しみな予定があると頑張れるのは、ドーパミンという神経伝達物質が関係しています。
ドーパミンは「快感を得たとき」だけでなく、「良いことが起こりそう」と期待した段階でも分泌され、やる気や集中力を高める働きがあります。
ただし、ドーパミンの分泌やその感じ方・効果には個人差があります。
「推し活をすれば誰でも元気になる」と一概には言えませんが、楽しみな予定や好きなことがあることで前向きな気持ちが生まれたり、「もう少し頑張ろう」と思えたりする人もいます。
③ 安心感や仲間意識につながる
推し活には、同じ「好き」を共有できる仲間とつながれる魅力があります。
筆者の場合は家族がその相手ですが、SNSやイベント、コミュニティを通じて共感し合える人と出会うこともあります。
「同じものを好きな人がいる」「自分だけじゃない」と感じられることは、大きな安心感につながり、共通の話題で盛り上がれる存在は、日常を楽しく彩り、ときには心の支えにもつながります。
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推し活を利用した作業療法士のアプローチ
前述した推し活など、「好き」が持つ効果は、医療現場でも注目されています。
その中でも作業療法士は、その人が大切にしていることややりたいことを支えるリハビリ職です。
身体機能の回復だけでなく、精神障害や発達障害がある方の日常生活を支えるのが特徴の職業です。
作業療法士の仕事を紹介するこちらの記事もぜひご覧ください。
【医療の仕事に迫る!】こころとからだのセラピスト、作業療法士って? | セラピア | 森ノ宮医療大学
現場では好きなことやその想いを丁寧にヒアリングすることで、その人の好きに寄り添ったアプローチを考えます。
たとえば、「もう一度、推しのライブに行きたい」と希望する方に対しては、目標の実現に必要なことを一緒に整理し、以下のような狙いを持ってリハビリを進めます。
・身体機能の回復:長時間歩く、階段を上る、立見での観覧、全力で楽しむための体力づくり
・環境の把握能力を獲得:広い会場内で自分の座席やトイレ、出入口を把握し、安全に移動できる力を養う
・時間管理能力の向上:開演時間に合わせた行動、電車の乗り換え、休憩のタイミングなどを考えながら動く力を高める
先生が現場で感じた「推し活」の力
先生はこれまで多くの方の支援に携わる中で、普段はリハビリに消極的だった方が、目標を持つことで前向きに取り組めるようになった場面を数多く見てこられました。
「思い出の場所へ旅行したい」
「自分の好きな服を着てお出かけしたい」
「孫に会いに行きたい」
など、好きな場所やファッション、大切な家族が推しだという人もいたそうです。
作業療法の現場では、こうした「好き」という気持ちが、想像以上の力を発揮することがあります。
だからといって、推し活そのものを無理に勧めるわけではありません。
大切なのは、その人がやりたいと思えることを見つけ、実現に向けた意味のある活動をリハビリに取り入れること。
作業療法士は、その人の「推し」や「大切な想い」を引き出し、その人らしい目標の実現に向けて支援を行っています。
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最後に
作業療法において、「好き」は単なる気晴らしではありません。
回復や挑戦への原動力となり、毎日の暮らしを少し前向きにするための活力となることがあります。その好きは推し活かもしれませんし、大切な習慣や好きな場所、誰かとの時間かもしれません。
疲れたときや頑張りたいときこそ、自分にとっての「好き」や「大切にしたいこと」を思い出してみてください。
その好きが、次の一歩を踏み出す力になってくれるかもしれませんよ。
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【この記事を書いた人】
Θ(シータ)
Θに似ているたらこくちびるが由来。1歳の女の子パパをしています。
