【関節リウマチ】もう不治の病ではない!その進化した治療法に迫る

最近テレビでも話題になった「関節リウマチ」。「関節が痛い病気でしょ?」と軽く思われがちですが、日本には約80万人もの罹患者がいらっしゃり、決して珍しい病気ではありません。かつては「不治の病」というイメージもありましたが、今は治療法や新薬の研究が大きく進み、早期治療によって、普段通りの生活を送れる人も増えてきています。今回は、そんな関節リウマチの最前線の治療について冨田先生に伺いました。

今回お話をお聞きした人

森ノ宮医療大学  総合リハビリテーション学部 言語聴覚学科
森ノ宮医療大学大学院  保健医療学研究科 看護学専攻博士後期課程
教授 冨田 哲也 先生
大阪大学医学部医学科卒業後、大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了(博士)。大阪大学医学部附属病院整形外科研修医、行岡病院、大阪厚生年金病院(現:JCHO大阪病院)整形外科、大阪大学整形外科助手、米国Stanford大学研究員、大阪大学大学院医学系研究科運動器バイオマテリアル学准教授を経て、2022年4月森ノ宮医療大学大学院 保健医療学研究科 看護学専攻 博士後期課程 教授に就任。2021年より大阪・関西万博大阪ヘルスケアパビリオン推進委員ディレクターを務め、ミライの医療を担当。日本リウマチ学会専門医・指導医。2022年より日本リウマチ財団の常務理事。

関節リウマチとは?

関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じることで起こる「自己免疫疾」の一つです。通常、免疫はウイルスや細菌などの外敵から体を守る役割を担っています。しかし、免疫のバランスが崩れ、自分自身の体を誤って異物だと認識し、攻撃してしまうことがあり、これを自己免疫疾患といいます。関節リウマチは全身の炎症性疾患ですが、特に手足の関節、手首に最初の症状が現れやすいのが特徴です。

関節の中で何が起きているの?

関節は骨の表面を覆う軟骨と、それを包む関節包からできており、関節包の内側には関節の動きを滑らかにする滑膜という膜があります。関節リウマチでは、免疫異常によりこの滑膜が異常に増殖し、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が大量に分泌されます。その結果、節に慢性的な炎症が起こり、進行すると軟骨や骨が破壊されます。これを「関節破壊」と呼び、重症化すると関節の変形を招き、手術が必要になることもあります。また、長年全身の炎症が続くと、腎臓や肺、血管などへのダメージや、動脈硬化の進行リスクが高まることも知られています。

関節リウマチの原因は?

残念ながら、関節リウマチの発症原因はまだ完全にはわかっていません。ウイルス感染がきっかけになるという説もありますが、体質や環境など複数の要因が重なり、免疫異常が生じると考えられています。

また、関節リウマチは女性に多い疾患です。以前は30~40代が発症のピークとされていましたが、近年は高齢化の影響もあり、65歳前後での発症が増えています。さらに喫煙は大きなリスク要因の一つで、喫煙によって肺で産生されるシトルリン化タンパクという物質が発症に関与する可能性が指摘されています。そのため禁煙は、発症予防や治療の面でも重要とされています。

大きく進化した関節リウマチの治療

冨田先生いわく、関節リウマチは2000年以降で最も薬物療法が進歩した病気の一つなのだそう。かつては慢性関節リウマチと呼ばれ、不治の病と思われがちでした。しかし現在は研究が進み、治療法の見直しや新薬の開発により、早期に適切な治療を行えば、多くの患者さんが薬で症状をコントロールできるようになり、完治を目指すことも可能となっています。

〈治療法の変化〉

関節リウマチの治療は日本リウマチ学会のガイドラインに基づいて行われます。以前は軽い治療から段階的に進める方法が一般的でしたが、研究により関節破壊は発症から約2年以内に急速に進行することが明らかになりました。そのため現在は、重症化が懸念されるケースでは、発症初期から積極的に治療を行い、早期に炎症を抑えて関節破壊を防いでいます。

〈新薬の登場〉

関節リウマチは、症状や痛みの程度、進行速度などに個人差が大きく、患者さんごとに適した治療を行う必要があります。「メトトレキサート」という薬が基本的な治療薬ですが、2000年代以降、炎症の原因物質を直接的に抑える「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」などの新薬が登場しました。これにより、従来の治療で効果が得られなかった患者さんにも新たな選択肢が広がっています。

関節リウマチの薬

見逃さないで初期症状のサイン!

関節リウマチの初期症状としてよく見られるのが、朝起きたときの関節のこわばりです。手が握りにくい、関節が腫れるといった症状が左右の関節に現れるのが特徴で、数十秒から数分続くことがあります。必ずしも同じ関節とは限らず、時間差で症状が現れることもあるため注意が必要です。こうした症状が続く場合は、早めに整形外科を受診しましょう。なお、関節リウマチの初期症状で手の第一関節に症状が現れることは基本的にありません。

冨田先生のメッセージ

関節リウマチの治療は日々進歩しており、現在では薬物療法によって、健康な人とほとんど変わらない生活を維持できるケースも増えています。しかし、関節破壊が進んでしまうと薬だけでの対応が難しくなるため、早期診断・早期治療がとても重要です。関節のこわばりなど、少しでも違和感があれば、早めに整形外科を受診することをおすすめします。また私は日本リウマチ財団で、医師だけでなく看護師や薬剤師、理学療法士など多職種へのリウマチ治療の指導にも携わっています。治療法や新薬の登場に加え、これからは様々な専門職が連携し、チームで患者さんを支える時代です。進化し続ける治療によって、今後はこれまで以上に多くの患者さんの生活の質が向上していくことを期待しています。

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