【医療の仕事に迫る!】人生に寄り添い支える。介護福祉士の仕事とは?

2040年には国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になると言われている日本。もはや介護は誰にとっても身近なものとなりました。その最前線を支えているのが介護のプロフェッショナルである「介護福祉士」。今回は帝塚山福祉会の寺前さん(介護福祉士)にお話を伺い、介護は大変?という従来のイメージとは異なる、現場の姿と介護福祉士の魅力をお届けします。

今回お話をお聞きした人

社会福祉法人 帝塚山福祉会 統括本部 介護課長/介護福祉士 寺前光啓さん
2000年に社会福祉法人帝塚山福祉会に入職(介護福祉士)。2019年より現職。元々は航空整備士として働いていたが、高齢者との関わりを通じて介護の道へ進むことを決意。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、病院などでの介護や職員教育に携わり、現在は介護責任者と法人人事を兼任している。

介護福祉士の仕事とは?

介護福祉士は高齢者や障がいのある方の「日常生活」を支援する介護の専門職です。患者さんの治療をサポートする看護師とは異なり、身体や心のケアを通じてその人らしい生活が送れるよう支援を行います。

身体介助

食事、排泄、入浴、着替えなど、日常生活の基本動作に加え、移乗や歩行補助といった安全な移動支援、口腔ケアや褥瘡(床ずれ)を防ぐ等の体位変換といった健康維持のケアを行います。また、所定の研修を修了した介護福祉士は、医療的ケア(喀痰吸引、経管栄養※など)も実施します。

※喀痰(かくたん)吸引:気道に溜まった痰を専用の吸引器具で取り除く
 経管栄養:口からの食事が行えない方に対して、チューブ(管)を使い胃や腸へ直接栄養や水分を送る

生活援助

洗濯、掃除、買い物、調理など、快適な日常生活を送れるよう身の回りの支援を行います。利用者さんの自主性を尊重しながら、必要な部分を補助します。帝塚山福祉会では、生活援助の1つとして、近くのスーパーでの買い物の支援を行っているそうです。

相談・助言

利用者さんやご家族からの介護に関する相談に対応します。精神的な不安に寄り添いながら、福祉用具の選定や介護方法等について助言します。

社会活動支援

地域イベントやレクリエーションなどの参加を支援し、社会とのつながりを保つ手助けをします。帝塚山福祉会では、地域の方との交流を増やすために公園に行ったり、近くのレストランで食事をしたりする機会を設けているそう。外出が難しい方には、施設内での交流を増やすために夏祭り等のイベントを運営しているとのこと。こういった機会が利用者さんの楽しみや生きがいとなり、生活の質(QOL)の向上にもつながります。

チームマネジメント

現場では介護福祉士や看護師、ケアマネジャー、理学療法士など、多職種の専門家と連携し利用者さん一人ひとりに最適な支援を提供します。そのため、チームを円滑にまとめるマネジメントに加え、介護計画の立案や記録の管理、さらに後輩職員の指導・育成といった役割も担います。

介護福祉士の活躍の場は下図のように様々です。
それぞれに特徴がありますが、基本的な業務は変わりません。

寺前さんが語る~介護福祉士の魅力とは?

➀人の役に立つ喜びを感じられる仕事

利用者さんやそのご家族から「ありがとう」と感謝されることが多い介護職は、人の役に立っているという実感が持てる仕事です。話を聞くのが好きな人はこの仕事に向いていると寺前さん。「仕事の約7割はコミュニケーション!」と語られるほど、利用者さんとの関係づくりが大切であるため、相手の気持ちに耳を傾け、優しく寄り添える人にぴったりです。

②人生の先輩から学べる仕事

寺前さんも昔は短気な性格だったそうですが(今のにこやかなお姿からは想像できません!)、利用者さんの豊かな人生経験や価値観に触れる中で自身の生き方を考えるきっかけとなり、大きな学びや気づきを得たそう。介護はマニュアル通りにいかないからこそ、その人に合った支援を考え、思いやりや工夫する力が育ち、人としても成長できる仕事です。

③安定性

超高齢社会の日本では介護ニーズが今後さらに高まります。ロボットやAIが進化しても、人の心に寄り添うことは人間にしかできません。国家資格である介護福祉士は、全国どこでも需要が高く、将来性のある安定した職業です。

より働きやすく~進化する介護現場~

介護は大変そうと思われる方もいますが、現場の様子は以前とは大きく変わっています!

介護機器やICTの導入

最近は「ノーリフティングケア(抱え上げない・持ち上げない・引きずらない)」という考え方が浸透し、職員や利用者さんの身体的負担を軽減するため、介護機器(介護ロボット・福祉用具等)の導入が進んでいます。これにより、帝塚山福祉会ではなんと腰痛の労災が大幅に減ったのだそう。また、タブレットの導入で記録作成が簡素化され業務の5分の1を短縮させることに成功。時代の変化に合わせ働きやすい現場へと変わっています。

研修の増加

施設や自治体での研修機会が増え、専門的な知識や技術を学ぶ場が広がっています。こうした学びを通じて、利用者さんの想いをより深く理解できるようになり、対応の幅も広がります。また、介護福祉士同士のつながりが生まれることで、悩みを相談・共有でき、学んだことを現場でいかす好循環が生まれています。

介護福祉士をめざす方へ~寺前さんからのメッセージ

介護は誰かの人生を支えるとても尊い仕事です。特別な才能や技術が必要なのでは?と思うかもしれませんが、一番大切なのは相手を思いやる気持ち。私はこの仕事を25年間続けていますが、一度も辞めたいと思ったことはありません。利用者さんの状態は日々変わり、昨日できたことが今日はできなかったり、逆に少しの成長に喜んだりと、毎日が喜怒哀楽の連続です。そんな日々を一緒に過ごせることが、何よりありがたく、尊いと感じています。

残念ながら、介護業界は5年後には約36万人の人材不足に陥るといわれています。介護福祉士は今後の日本に欠かせない役割を担っています。「誰かの人生に寄り添いたい」という気持ちを持っている方は、ぜひ介護の世界に飛び込んでみてください。みなさんの優しさが、きっと誰かの笑顔につながると思います!

社会福祉法人 帝塚山福祉会 

社会福祉法人帝塚山福祉会は、昭和51年設立の葛城会、平成10年設立の帝塚山福祉会、平成15年設立の難波福祉会を前身に、平成26年・令和5年の合併を経て誕生。現在は、住吉区帝塚山・阿倍野区松崎町・住之江区南港北・和泉市の4地域で、12施設・1,240床の施設サービスを提供。 また、同地域で、デイサービスセンター、デイケアセンター、ケアプランセンター、地域在宅介護支援センター並びに診療所を有している。

帝塚山福祉会施設一覧

●介護老人福祉施設
帝塚山特別養護老人ホーム/特別養護老人ホーム 阪和帝塚山苑/特別養護老人ホーム 阪和苑/特別養護老人ホーム 浜木綿苑/特別養護老人ホーム 唐国園
●介護老人保健施設
介護老人保健施設 雅秀苑/介護老人保健施設 聖和苑
●養護老人ホーム
養護老人ホーム 阪和櫻美苑/養護老人ホーム 浜茄子苑
●軽費老人ホーム
軽費老人ホーム ケアハウス帝塚山/軽費老人ホーム ケアハウス阿倍野/軽費老人ホーム ケアハウス雅風苑

帝塚山福祉会 公式WEBサイト

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【この記事を書いた人】

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アニメっ子

アニメ鑑賞で毎日エナジーチャージ。漫画・映画・韓ドラも愛してやまない、泣けるシーンには秒で落涙する20代女子。

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