【医療の仕事に迫る!】「鍼灸師」が行う鍼灸治療は、健康への一手です。

2024.10.02

なんとなくしんどい、腰が痛い、寝つきが悪い...実はこれらは身体が出している病気へのシグナル。「このシグナルは鍼灸治療が得意とするものの1つ」と言う尾﨑朋文先生に「鍼灸師」の仕事について聞きました!

今回お話をお聞きした人

学校法人森ノ宮医療学園 理事/森ノ宮医療大学 鍼灸臨床センター 鍼灸師 尾﨑 朋文 先生

大阪鍼灸専門学校(現:森ノ宮医療学園専門学校)卒業後、近畿大学法学部法律学科で学士(法学)を取得。大阪大学大学院 歯学研究科高次脳口腔機能学講座専修学校 研修員、大阪鍼灸専門学校(現:同上) 附属診療所鍼灸室 室長、森ノ宮医療学園専門学校 副校長、森ノ宮医療大学 保健医療学部(現:医療技術学部)鍼灸学科 教授などを経て、現在に至る。

鍼灸師ってどんな仕事?

鍼灸治療は飛鳥時代に中国から伝わってきた治療方法です。ただ、長らく鍼は鍼医が、灸は主に家庭や地域の人々が担ってきて、現在の国家資格「鍼灸師」が誕生するのは実は昭和時代に入ってからです。今は施術を受けたことがない人も増えましたが、昭和中頃までは健康管理の有力な手段でした。髪の毛ほどの細い鍼や、ヨモギを乾燥させた艾(もぐさ)を燃やすお灸の一見微細に感じる刺激は、皮膚より身体内の神経細胞から必要な部位に伝わり、自然治癒力や免疫力を高め病気を未然に防ぎ健康回復をもたらします。鍼灸師は、鍼や灸の作用と経穴(鍼や灸を行うと効果がある部位)を熟知し、多くの人々の健康を支える役割を担っています。

鍼灸師はこんなフィールドでも活躍しています!

第一は病気の症状を緩和させること。ただし鍼灸師ならではの向き合い方があります。それは「何となくしんどい」という病気未満の状態(東洋医学では未病と呼ばれる)やがん治療等で生じる痛みや苦痛などへの「手当て」や「寄り添い」をすることです。それは患者さんを丸ごと支える姿勢で、終末期のケアに鍼灸師が求められる理由もそこにあります。

それから、近年急速に活躍の場が増えているのがスポーツ分野や美容界です。現在、プロスポーツチームに不可欠なトレーナーの少なくとも半数以上が鍼灸師の国家資格を保有していると言われています。身体のメンテナンスだけでなく疾患や傷害が発生したときに治療ができるのは鍼灸師だからこそで、それは大きなアドバンテージです。また美容分野では、患者さんはほうれい線やたるみ改善を目的とすることが多いですが、その根底には鍼による循環改善や、心理的な効果があります。マンツーマンで患者さんと向き合う鍼灸師の存在は大きいのです。

鍼灸師のめざし方とメリット

鍼灸師になるためには、高校卒業後に専門学校や大学で国家資格の取得をめざします。専門学校では資格取得を第一義として学業に励む学生が多いのに対して、大学では、親の稼業を継ぐことを念頭に入学した学生も含めて、資格や学位の取得を視野に入れながらも4年間のキャンパスライフを楽しみつつ鍼灸を学ぶなど将来ビジョンは多様です。

尾﨑先生によると、「人と話すのが好き、努力する才能があるかどうかが鍼灸師になったときの鍵になる」とのこと。鍼灸治療は患者さんとマンツーマンで行うため適切なコミュニケーション能力が必要です。よく言われる手先の器用さはそれほど関係ありません。治療技術は練習の積み重ね、努力で上達します。

それから重要な点は、開業権が鍼灸師に認められていることです。規定の登録さえすれば治療院開設あるいは訪問専門でも仕事をスタートできます。男女問わず、育児など自分のライフスタイルに応じた働き方が選択できます。これは非常に現代に即したメリットです。

まとめ

鍼灸治療を受けたことのない方の鍼灸のイメージは「鍼は痛い」、「灸は熱い」です。しかし、実際、細い鍼はほとんど痛みがありませんし、お灸は米粒の半分程度の大きさが主流になってきており、痕も残りません。微細な鍼の感覚、刺入したときに感じる独特の心地よい感覚『ひびき』が“やみつき”になる患者さんも多くいます。また、お灸も心地よい温かさが、症状を改善したり、安眠や便秘改善、また食事がおいしく感じられることもあります。慌ただしい生活を送っていると何かしら心身に不調が出てくるものです。日々を支える大事な体のメンテナンスに、あなたも鍼灸を取り入れてみませんか?

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