実は私、20代半ばから月に1回くらいのペースで偏頭痛に襲われ、そのたびに慌てて頓服薬を飲むという生活を送っています。そのため出かける際には、薬を常備しなければ不安で、家中の鞄という鞄に忍ばせています。本日はそんな、私の生活に欠かせない薬のスペシャリスト、薬剤師の仕事について迫ります。
今回お話をお聞きした人
フォーユー薬局 南港店 店長/管理薬剤師 永松 卓 さん
徳島文理大学香川薬学部卒業。ハザマ薬局などで勤務し、調剤、在宅、OTC販売業務に従事。薬学ゼミナール認定薬剤師。公認スポーツファーマシスト。
フォーユー薬局 南港店/森ノ宮医療大学附属 大阪ベイクリニック
薬局のしくみ
薬局は、明治時代に薬剤師および薬局制度が規定されたのがはじまりです。その後大正、昭和を経て医薬分業制度が整備され数を増やしてきました。それまでは医師が診断・薬の処方まで行っていましたが、制度変更に伴い医師が処方箋を発行し、薬剤師が調剤・処方する形になりました。それぞれ役割を別にすることで監視の目を増やし、ミスを減らすメリットがあります。患者さんの立場からすると、病院と薬局の2カ所へ行かなければならず、またそれぞれ料金がかかるため不便に感じられると思いますが、安全を担保するための仕組みなんですね(ちなみに薬局は全国に約6万件あり、コンビニの約5万件より多い状況です)。
ちなみに、処方箋は全国どこの薬局でも対応が可能ですが、セラピアの読者のみなさんへ、耳よりな2つのお話を…。
①薬局によって料金の差がある
実はさまざまな事情で、薬局ごとに支払う料金が変わることがあります。ざっくり言うと、処方箋が出された医療機関から距離が遠くなるほど、料金は上がります。少しでも安く抑えたい場合は、処方箋が出た医療機関の近くにある薬局に行きましょう。
また料金はその他さまざまな要因から決まるため一概には言えませんが、ドラッグストア内の薬局は料金が上がる傾向にあります。
②薬によっては準備ができない場合もある
こちらも様々な事情から、薬によっては世の中にじゅうぶん供給されていないものがあります。そのため薬を探して薬局を点々とされる患者さんもいらっしゃいますが、実は処方箋が出された医療機関近辺の薬局には在庫があることが多いです。これは、互いに連携することで、在庫がない薬を処方することを避けているため。特別な理由がなければ、近くでもらうのが賢明です。
薬剤師の仕事
薬剤師は、患者さん(代理も可)が持って来られた処方箋の記載内容と、患者さんの状態を問診などで確認し、処方が適切かを判断します。この時、他の薬を飲まれている場合、その飲み合わせが問題ないかや、アレルギーの有無を確認した上で調剤し、飲み方の指導とともに患者さんへお渡しします。その際、疑義が生じた場合は処方箋を出した医師に問い合わせ、変更を相談することも。薬は一万を超える種類があるので、適切に使用するため細心の注意を払っています。
さらに、処方後のアフターケアも行います。調子はどうか、不安な点がないか等、電話等でお聞きすることも大切な仕事です。コロナ禍では「ラゲブリオ」という重症化を防ぐ薬がよく処方されていましたが、新しい薬のため副作用がないかなど特に意識して聞かれていたそうです。
また薬剤師によっては調剤の際、薬を飲みやすくするため医師へ確認の上で加工したり、漢方を混ぜたりと、患者さんの状況にあわせて剤形変更や服用方法を提案する方もいます。その他、患者さんのお宅へ訪問し、聴診器を用いて身体の調子を確認、場合によっては薬の変更を医師に提案することも。近年では、大学で薬学について学ぶ際、こうしたフィジカルアセスメント・バイタルアセスメントを受講する方も増えているようです。
まとめ
恥ずかしながら筆者は、お話を聞くまで薬剤師は、患者さんとはお薬のやり取りをする際くらいしか関りがないと思っていました。が、実はその時だけでなく様々な場面でみなさんの安全を守ってくれていることを知りました。
また取材中、同じ病名で診断を受けたけど家族で異なる薬が処方されたこと、互いの薬をシェアしても良いか、などかなりグレーな質問をしてみましたが、「そんな相談も気軽にしてくださいね!そんな時のために僕たちがいるので!」と笑顔でお答えいただき、これから薬のことで悩んだ時はすぐに相談しよう!と思いました。
いつもお世話になりながらもその仕事内容について詳しく知らなかった薬剤師さん、これからもどうぞよろしくお願いします!