【熱中症対策】夏を健康に乗り切るための習慣づくり

毎年のように「過去最高の暑さ」が記録される日本の夏。
2024年には、福岡県太宰府市で猛暑日(35℃以上)が40日連続という異常な暑さが観測されました。
もはや“水を飲めば大丈夫”という考えだけでは、命を守れない時代です。

今回は、一般の方でも無理なく取り入れられる水分補給のコツを、アスリートを支えるトレーナーの知見をもとにご紹介します。
熱中症から身を守り、安全に夏をすごすため、ぜひ参考にしてください。

今回お話をお伺いした人

森ノ宮医療大学 医療技術学部 鍼灸学科/須貝 純也 さん

大阪府立泉北高等学校卒業後、Bリーグのトレーナーをめざし森ノ宮医療大学に入学。
現在は大学公式団体「メディカルスポーツトレーナー研究会(MST)」に所属しながら、インターンシップとしてトップウェストAリーグ「JR西日本ラグビー部 レイラーズ」でトレーナー活動を行っている。(取材時)

熱中症を防ぐ水分補給の基本

水分補給といえば「喉が渇いたら飲む」方が多いかもしれません。
しかし、これはすでに軽度の脱水状態になっているサイン。重要なのは「前もって、こまめに」飲むことです。

水分補給の目安
・起床後※にコップ1杯(200mL)の水
・日中は1〜2時間ごとに100〜200mLをこまめに摂取
・外出前、運動前に飲んでから身体を動かす

1日の総水分摂取量は約1.5〜2Lが目安ですが、ここには食事に含まれる水分も含まれます。後述する食べ物などをうまく活用し、無理なく摂取しましょう。

※睡眠時も実は多くの発汗があります

スポーツドリンクや経口補水液の「落とし穴」

熱中症対策としてよく挙げられるのが、ポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンクや経口補水液。これらは確かに有効な場面もありますが、日常的に飲み続けるのはおすすめできません
その理由は糖分が多すぎるため
500mLあたり約25g(角砂糖6〜7個分)の糖分が含まれており、常飲するとカロリーの摂りすぎで肥満につながる恐れがあります。

スポーツドリンクは運動時の発汗により失われた水分・電解質の補給を目的とした飲料。
より吸収が早い経口補水液(OS-1など)は、熱中症が疑われるときの“緊急用”。目的に応じて、適切に使用しましょう※。

※熱中症時に水だけを摂取すると「低ナトリウム血症」に陥る恐れがあります。

食事からの水分と塩分補給もお忘れなく

飲み物だけでなく、食事も重要な水分補給の手段です。

・みそ汁、スープ、おかゆなどの汁物
・梅干しや塩昆布など、塩分が含まれるもの
・スイカ、トマト、キュウリなど水分が多い野菜・果物

低ナトリウム血症を避けるためにも、こうした食材から水分と塩分を上手に摂りましょう。
普段の水分補給には、上記の食事とともに水・麦茶・カフェインレスのお茶など(カフェインには利尿作用があるため)を基本にし、軽く汗をかいたときは、塩分補給用タブレットや塩昆布などを一緒に摂取するのがおすすめです。

日常でもできる脱水チェック法

「まだ喉がかわいていない」や「汗をかいていないから大丈夫」といった感覚に頼るのは危険です。アスリートの現場では、以下のような数値や見た目でのチェックが行われています。

尿の色を確認:濃い黄色〜茶色に近い色は脱水のサイン。
体重の変化を記録:朝・夜で1kg以上の減少があれば注意。
爪の反応を見る:爪を押して色が戻るのに3秒以上かかる=水分不足の可能性

熱中症が疑われる際はこれらのチェックを行い、身体の状態を確認しましょう。
また万が一、自分や周りの人が熱中症の症状を示したときは、以下のように対応しましょう。早期発見・早期対応が命を守るポイントです。

<日本スポーツ協会WEBサイト「熱中症になってしまったら」より>

「暑さに慣れる」ことで、体は熱に強くなる

アスリートは試合に向けて暑さに身体を慣らす目的で「暑熱順化(しょねつじゅんか)」を行いますが、これは一般の方にも応用できます。
以下の内容を実施し、暑さに負けない身体をつくっていきましょう。

・湯船につかって汗をかく
・朝や夕方に15〜20分のウォーキング
・外出の際は短時間でも冷房のない場所に身を置いてみる

こうした積み重ねで、汗をかく力(発汗機能)や血流の調整力が高まり、熱中症になりにくい体に近づけます。
くれぐれも無理をせず、少しずつ身体を慣らしてください。

活動場所の暑さをチェックしよう!

暑さの判断の指標にはWBGT(湿球黒球温度)というものがあり、環境省の熱中症予防情報サイトで毎日発表されています。
WBGTが28℃を超えると熱中症の発生率が上昇するため、注意が必要です。
なおWBGTの測定は地上1.5m地点で行うのが推奨されていますが、それより背の低い子どもの場合、さらに暑さを感じている場合があるため注意が必要です。

WBGTは環境省の「熱中症予防情報サイト」やスマートフォンのアプリでも確認できます。

熱中症予防情報サイト/環境省
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

まとめ:水分補給は「戦略的」に行う

アスリートは試合の前中後など、ことあるごとに“計画的に水分補給”を行っています。
須貝さんたちトレーナーも、意識的に声をかけて水分摂取をすすめているそう。そしてこの考え方は、私たちの生活でも非常に有効です。

ポイントは、

・喉が渇く前に水やお茶を飲む
・身体を暑さに慣らしていく
・スポーツドリンクや経口補水液は使いどころを見極める

今年の夏は、“なんとなく水を飲む”から、“体を守る水分補給”へ。正しい知識と行動で暑さに負けず、夏を楽しみましょう。

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森ノ宮医療大学 医療技術学部 鍼灸学科アスレティックトレーナーコース

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