あなたも予備軍かも!?糖尿病と予防方法

日本人は予備軍も併せると約2,000万人と、6人に1人が糖尿病と言われています。そんな身近な病気の糖尿病は、そもそもどんな病気で何が怖いのか、ジャンクフード大好きだけど健康体だと信じ切っている筆者が、多くの糖尿病患者さんに運動療法を指導している理学療法士の角田先生に、お話しを聞いてきました。

今回お話しをお伺いした人

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部 理学療法学科 副学科長 教授/角田 晃啓 先生
理学療法士のほか代謝認定理学療法士、日本糖尿病療養指導士として糖尿病患者の健康増進をテーマに研究を行う。専門は応用健康科学。2011年森ノ宮医療大学入職、20234月より現職。

糖尿病ってどんな病気?

※糖尿病にはすい臓の機能が低下して起こる1型糖尿病と、主に生活習慣の乱れによって起こる2型糖尿病がありますが、本記事では2型糖尿病について言及します

通常、体内の血液中には一定数の糖(ブドウ糖)が含まれ、血糖値という数値でその量が表されます。この血糖値が高くなる(血中の糖が増える)と、糖尿病と呼ばれる状態になりますが、これが続くと、血管にダメージを与えます。するとその部分の血流が悪くなり、やがて失明・腎障害・感覚障害など重篤な状態が引き起こされる、怖い病気です。

通常であればすい臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用で、筋肉や脂肪に糖を取り込ませエネルギーとして消費し、また、肝臓が糖をグリコーゲンとして貯蔵することで、血糖値を下げることができます。ところが、食生活の乱れや運動・睡眠不足、喫煙など生活習慣の悪化により、インスリンのはたらきが阻害されたり、そもそも分泌される量が減ったりすることで、血糖値が高い状態が続くことになるのです。

この糖尿病、初期はほとんど自覚症状がないか、あってものどの渇き・頻尿・体重減少など、日常の中で起こっても不思議ではない症状が多いため、気付くのが難しいのが怖いところ。
健康診断や人間ドックなどで、血糖値やHbA1c(過去12か月の血糖値の状態を反映する数値)を調べることが必要です。食事・運動・薬の基本的な治療を継続することで血糖値をより良い状態にマネジメントしていくことが可能なので、まずはしっかりと自分の状態を把握することが大切です。また日本人は、遺伝的に糖尿病を発病しやすいと言われています。ご家族で糖尿病と診断された方がいる場合は、積極的な受診をお勧めします。

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理学療法士オススメ!糖尿病にならないための運動

とはいえ、そもそも血糖値が高い状態にならないことが最も重要。食生活を整えると同時に、運動も効果的です。ここでは糖尿病を専門に研究されている理学療法士の、角田先生にオススメの運動を2つ教えてもらいましたのでご紹介します。

1.プラス10

オススメの運動と言っても難しいものではなく、今の生活にプラス10分、歩く時間を増やしましょう。「110,000歩」が目標とされていたこともありましたが、多くの忙しい日々を送る方にとって現実的な数字ではありませんでした。そんな方でも、1日に10分、歩く時間を確保することはそれほど難しいことではないはず。ぜひ意識的に歩くようしてみてください。

2.座位行動中断

「いやいや、私は10分歩く時間を作るのも難しい!」というモーレツな生活を送る方。そんな方でもできる方法として、30分に1回、立ち上がることをお勧めします。

座り続けることは糖尿病だけでなく、さまざまな健康リスクを引き起こします。健康のために30分に1回、椅子から離れる習慣をつけましょう。また近ごろ見かける機会も多くなりましたが、スタンディングチェア(バーのカウンターに置いてあるような、背が高めに作られたイス)などもオススメです。※ただし立ち飲みは除きます

いかがでしたか?運動と言っても、思ったよりハードルは低かったのではないでしょうか。
また最近は、健康器具としても人気がある電気刺激で筋肉を収縮させる機械を用いて、筋中に糖を取り込ませることで血糖値を下げる方法も、研究が進められているそうです。
どうしてもこれらの運動ができない方も、これならきっと続けることができる…はず。この研究が進み、効果があると証明されるまでの期間だけでも、ご紹介した2つの運動をしてみてはいかがでしょう!?

落とし穴…食生活に気を付けていても糖尿病に!?

先にご紹介したように、血糖値はすい臓から分泌されるインスリンの働きで下げられます。ところが加齢によりすい臓の機能が衰えると、インスリンの分泌量が減少し、これまでと同じ食事を摂っていても血糖値が高い状態になることがあります。
加えて、65歳以上の15%が該当すると言われる(※)「サルコペニア」という筋肉量が低下した状態になると、筋に取り込まれる糖の量が減り、結果として糖尿病になることがあります。
節制した食事をしていたとしても、それだけではだめなんですね…。血糖値を測り、運動も行うことで、糖尿病にならない体づくりを続けていきましょう!

※公益財団法人長寿科学振興財団「サルコペニアとは」より
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-about.html

まとめ

糖尿病は生活習慣と密接した病気のため、意識一つで予防や改善が図れます。また罹患をきっかけに、自身の生活を見直し、結果的に以前より健康になる患者さんもいるそう。

最近はスマートウォッチをはじめとする、脈拍や睡眠データ・歩数など、個人の健康記録を手軽に記録できるデバイスが多く売られています。自身の健康状態を手軽にチェックし、身体の状態を把握することが簡単にできます。日頃の習慣に加えてみることで、これまでの甘い生活にさよならし、糖尿病にならない生活を心がけましょう! 

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