紫外線から肌を守る!紫外線リスクとケア

暑い夏…カンカン照りの太陽…そこで気を付けたいのが「紫外線」です。今や多くの方が日焼け止めや日傘で対策をしている姿を見かけますよね。では、紫外線にはどんな影響があるのでしょうか。日焼け対策をしているからといって、紫外線対策ができているか?というと、そうではありません。今回は紫外線が肌に与える影響とその対策についてお話を伺いました。

今回お話をお聞きした人

森ノ宮医療大学 医療技術学部 診療放射線学科 教授 松﨑 伸介 先生
和歌山県立医科大学卒業後、大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了(博士)。大阪大学医学系研究科(連合小児発達学研究科兼任)准教授、トロント大学留学、和歌山県立医科大学医学部准教授を経て、2021年より森ノ宮医療大学教授・医療法人同仁会理事長に就任。創傷治癒・神経疾患を中心に国内外との共同研究を実施している。現職医師として地域医療に従事するとともにリセルクリニックでの美容医療に従事している。

紫外線とは?

紫外線(UV)とは太陽光線の一種で、中でも波長が短い光を指します。UV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分けられ、いずれも人間の目には見えません。ひと昔前までは日焼けは健康的だとして、肌をこんがり焼く人もみられましたよね。確かに、紫外線は骨の形成に必要なビタミンDの生成に役立ちます。しかし、今や多くの研究で紫外線の浴びすぎは健康に悪影響を及ぼすことがわかっており、適切な対策をとることが重要です。

UV-A(A波)

地表に届く紫外線の約9割がこのA波。エネルギーは弱いものの、波長が長いため、皮膚の真皮層まで届き、ハリを与えるコラーゲン等を破壊します。長期的に浴びると、しわやたるみの原因に。近年これを光老化と呼び、加齢による肌老化の7割はA波が原因だといわれています。また、A波は雲や窓ガラスを通過しやすく、曇りの日や室内・車内でも油断は禁物です。

UV-B(B波)

残りの1割がこのB波。A波より波長は短く、皮膚の表皮に影響を与えます。日焼けや皮膚の炎症はこのB波が主な原因。これらの反応から肌を守ろうとメラノサイト※からメラニン※が作られ黒くなり、くすみやシミの原因になります。また、エネルギーが強いため、皮膚細胞のDNAを傷つけることも。過剰に浴びると自己修復が追い付かず、突然変異することがあり、これが皮膚がんの原因になると考えられています。

※詳細はこちら
くすみ記事 https://therapia.morinomiya-u.ac.jp/category/beauty/post-34.html

UV-C(C波)

オゾン層に吸収されるため、地表には届きません。しかし、紫外線の中では最もエネルギーが強く殺菌効果があるため、医療や食品業界で幅広く利用されています。

松﨑先生によると、最近の研究では、紫外線の影響により、メラニンを過剰に分泌するメラノサイトが生まれることや、表皮に蓄積されるメラニンが弱まった基底膜から真皮層へ移行するといった肌への影響が明らかになっているのだとか。最強のメラノサイト+肌の深い層へのメラニンの蓄積…。ああ…お肌が黒くなる一方ですね…。シミ・しわ・たるみ等ができる前にしっかりとケアしましょう!

変動する紫外線量

紫外線の強さは季節や天気、場所や時間帯などによって変化します。

季節: 4月頃から急激に増加し8月がピーク。
時間帯 10~14時が最も強い。
天気:快晴時と比べ曇りは5割、雨でも3割照射される。(B波)

弱いからといって油断して長期間浴びると、強いものと同等量を浴びている計算に。また、私たちが浴びる紫外線は太陽からの直接光だけではありません。空気中で散乱する「散乱光」は直接光の1.5倍、地面等で反射する「反射光」はアスファルトで約10%、砂浜や水面で約10~20%、新雪では約80%もの紫外線量になります。このため海やスキー場などでは、より多くの紫外線を浴びることになります。

医師が推奨する紫外線対策

 紫外線量を抑える

美肌の観点からいうと、予防には紫外線を浴びないことが1番です。まずは、紫外線が強い時間帯の外出を控えること。気象庁のページではUVインデックス(紫外線による人体への影響度を示した指標)が簡単に見られます。出かける前にチェックしておくといいですね。UVカット加工された日傘や帽子、衣服等のグッズも有効。B波はもちろん、見落としがちなA波にも効果があるのかも確認してみてください。

気象庁 紫外線情報 紫外線情報(分布図)

日焼け止め

紫外線対策で欠かせないのが日焼け止め!①で紹介したグッズもいいですが、散乱光や反射光は防ぎきれません。より効果的にブロックするなら、日焼け止めが有効です

効果

A派を防ぐPA + :効果がある、++ :かなりある、+++ :非常にある、++++ :極めて高い
B派を防ぐSPF 最大50+

※SPFとは?:紫外線を浴び肌が赤くなり始めるまでの時間をどれくらい遅らせられるかを示す数値。何も塗らないと20分で日焼けする人がSPF30を使うと、20分×30=600分 日焼けを防げます。(理論上)

タイプ

紫外線吸収剤:紫外線を吸収し化学反応で熱に変える。効果が高い反面、刺激が強い。
紫外線散乱剤:紫外線を反射する。吸収剤に比べると効果が弱いが、刺激は少ない。
PA、SPFが高いものは紫外線吸収剤が使われていることが多く、これが肌荒れの原因になることも。気になる人は散乱剤を選びましょう。

日焼け止めは、使用場面や自分の肌質に合ったものを選び、十分な量をムラなく塗りましょう。もったいないからとケチってはいけません!そして、汗をかくと流れてしまうため、2~3時間でこまめに塗り直すことが大切です。

出典:日本化粧品工業会『生活シーンに合わせた紫外線防止用化粧品の選び方』 

Q、飲む日焼け止めは効果がある?
最近よく聞く飲むタイプの日焼け止め。これは日焼け後のターンオーバーの促進やダメージ予防が主な目的で、これで日焼けを防ぐことは難しいとのこと。また、そもそもA波には効果がないので、塗る日焼け止めと併用することをおすすめします。

最後に

紫外線量は年々増加しており、この10年で約5%も増加しています。紫外線は目に見えない分、ケアをおろそかにしがちですが、そのダメージは着実に蓄積されています。今回は美容面にスポットを当てましたが、紫外線の影響は紫外線角膜炎や白内障などの目の病気、免疫力低下、皮膚がんなど様々です。数年後の肌や健康を守るためにも、今から紫外線対策に取り組みましょう。

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