顔の印象は口元から!きれいな歯並びで印象を変えよう!歯列矯正とは?

2025.04.21

みなさんは歯並びを気にしたことがありますか?コロナ禍ではマスク美人といった言葉が流行したように、人の印象は口元で大きく変わります。その口元の印象に大きく影響しているのが歯並びです。海外では歯並びを整えることは当たり前といった国も多いのだとか。見た目の変化だけでなく、虫歯や歯周病リスクの低下や嚙み合わせがよくなるといったメリットも。今回は、そんな歯列矯正について森谷先生にお話をお聞きしました。

今回お話をお聞きした方

森ノ宮医療大学 総合リハビリテーション学部 学部長、副学長
教授/歯科医師 森谷 正之 先生
大阪大学歯学部助手、大阪大学大学院 歯学研究科講師を経て2008年に森ノ宮医療大学へ入職、2022年より現職。解剖学を担当。

歯が動く仕組み

歯列矯正による歯の動きは、歯そのものではなく歯が生えている骨(歯槽骨)が変化することで起こります。骨には骨をつくる細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)とが存在し、ふたつの細胞の働きが拮抗することで骨が維持されています。矯正装置で歯に微弱な力を加えると、歯の根っこに押されて(圧迫されて)いる側の骨が吸収され、反対側に骨が形成されていきます。これにより歯の位置を変えていきます。

歯列矯正の種類

歯列矯正の装置は大きく2つのタイプに分けられます。

・ワイヤー矯正(ブラケット矯正)
歯の表面にブラケットという小さな金具をつけ、そこにワイヤーを通す治療方法です。ワイヤーを曲げたり引っ張ったりすることで歯に力を加えて治療します。ワイヤー矯正は300年以上の歴史があり、技術も確立しているため、様々な歯並びの方に対応できます。しかし、歯の表面に装置を付けることで、異物感が強い、見た目が気になるといったデメリットもあります。最近では歯の裏側に装置をつける裏側矯正や、セラミックなどの素材が選択できるため、審美性も高くなっています。また、ワイヤー矯正は1ヶ月に1回の受診が必須です。治療中は装置を外すことができないため、歯磨きがしにくく、虫歯になるリスクが上がります。そのため定期的な受診時には、装置の調整はもちろんですが、歯の状態の確認・クリーニングを行い、歯をケアします。

・マウスピース矯正
マウスピース矯正は治療開始から完了まで、各段階に合った「マウスピース型」の装置を定期的に交換して徐々に歯並びを変えていく方法です。マウスピースタイプなので異物感が少なく、審美性も高いのが特徴で、着脱可能なため、通常生活と同じく、食事や歯磨きも気にせず行えます。また、ワイヤー矯正に比べ通院回数も少ないので忙しい人にはおすすめです。ただ、1日20時間以上の装着が「必須」とされており、自己管理がしっかりできる人でないと、想定通りに歯が動かず治療に要する期間が伸びてしまいます。

(※各個人、症例によって変わります)

教えて!Q&A

Q.年齢によって歯の動きやすさは変わる?
歯の動きやすさそのものの年齢による違いはそれほど大きくはありません。ですので、矯正治療は何歳からでも始められます。ただ、矯正は子どもと成人(高校生以上)でわけられており、これは顎の骨格が成長する子どもと、成長が止まった成人ではアプローチ方法が異なるためです。顎の成長は、上あごは比較的早い段階でサイズが決まりますが、下あごは高校生ごろまで変化します。例えば受け口の場合、子どもであれば受け口にならないよう顎の成長のコントロールを行いながら、歯も矯正することできれいに形が整います。しかし、成長が終わった成人では歯を矯正しただけでは希望がかなわないこともあります。

Q.矯正中、虫歯になったらどうするの?
矯正中に虫歯や歯のトラブルが見つかった場合は、まずその治療を優先して行います。マウスピース矯正は問題ないのですが、ワイヤー矯正の場合、大きな治療が必要であれば装置を外すこともあります。そうならないためにも、毎日しっかりと歯磨きをしましょう。

Q.矯正期間が終わった後ってどうなるの?
矯正が終わったからといって安心してはいけません。後戻りといって、矯正装置を外した直後は歯槽骨がまだ安定しておらず、何もしないと歯が元の位置に戻ろうとします。後戻りを防ぐために、マウスピースをはめたり、リテーナーという装置を付けたりします。特に、成長期に行う子どもの矯正は後戻りすることが多く、顎の成長が終わるまでは後戻りを防ぐための装置を付ける必要があります。

Q. 歯医者を選ぶポイントを教えてください。
1つは、矯正の「専門医」がいる歯医者を選ぶことです。「専門医」を名乗るには学会で認定される必要があり、豊富な知識と技術が必要です。歯医者を選ぶ際にはホームページなどで「専門医」がいるかどうか確認してみましょう。また、カウンセリングの際、矯正治療の説明やメリットデメリット、不安点等、きちんとした説明・相談ができる歯医者を選びましょう。矯正をする目的は個人で違います。矯正前にそういった点を確認し、しっかりと話しておくことで、不具合が起きた場合も安心して相談することができます。

森谷先生からのメッセージ

人生100年の時代に入り、自分の歯を大切にしながら、おいしく食べて元気に暮らすことが重要になっています。矯正治療による歯並びの改善は、お顔の見栄えだけではなく、歯周病などお口の病気のリスク減少など様々なメリットがあります。人によって矯正をする目的は様々ですが、理想とする歯並びを実現するには、歯医者としっかり相談した上で治療を開始するかどうかを決めることが大切です。自分が信頼できる歯医者を選んで、理想の歯並びを手に入れてくださいね。

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