「脱毛で肌をきれいに魅せたい」そんな美容への憧れは女性だけでなく近年は男性も抱くように。美容面だけでなく最近は介護脱毛なんて言葉も聞きますよね。関心の高いテーマですが、自分にあった脱毛方法を選ぶのは案外難しい…。実は筆者もいくつか脱毛を経験しましたが、求める理想には届きません。筆者のように悩めるあなたへ脱毛選びのポイントをお伝えします。
今回お話をお聞きした人
森ノ宮医療大学 医療技術学部 診療放射線学科
教授 松﨑 伸介 先生
和歌山県立医科大学卒業後、大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了(博士)。大阪大学医学系研究科(連合小児発達学研究科兼任)准教授、トロント大学留学、和歌山県立医科大学医学部准教授を経て、2021年より森ノ宮医療大学教授・医療法人同仁会理事長に就任。創傷治癒・神経疾患を中心に国内外との共同研究を実施している。現職医師として地域医療に従事するとともにリセルクリニックでの美容医療に従事している。
約500万本の毛?
人の体には約500万本の毛が生えており、そのうち毛周期などの関係で目に見える部分は約150-200万本といわれています。
毛は毛根領域に存在する発毛組織(毛母細胞・毛乳頭細胞、バルジ領域)が連動して作用することで、毛母細胞が分裂を繰り返し、体表に生えてきます。そのためこの毛根領域の発毛組織を何らかの方法でつぶすことで毛は生えてこなくなります。
ところで、毛は毎日抜けていくにもかかわらず無くならないのを不思議に思ったことはありませんか?これは毛の「成長期・退行期・休止期(下図)」の毛周期が一定ではなく、バラバラにずれているためです。このずれが一定になると、犬や猫のように季節毎に一斉に生え変わるということが起こります。
医療脱毛とエステ脱毛の違いは…ずばり永久脱毛してよいかどうかです!
脱毛は、「医療脱毛」と「エステ脱毛」に大別されますが、2つの大きな違いは、永久脱毛が可能かどうかです。永久脱毛を実現する発毛組織の破壊は治療行為の一環となるため、医療脱毛として医師または医師の指示の下で看護師が施術を行います。一方、エステ脱毛では永久脱毛は法律上出来ません!医療脱毛とエステ脱毛では、最終ゴールが違うため、もちろん使用する機器も異なります。永久脱毛を目的にしていない方であれば、エステ脱毛の良さもあるため、その違いを知っておくことは重要です。
〈医療脱毛〉
医療脱毛は大きく分けて蓄熱式と熱破壊式の二つに大別されます。蓄熱式は低出力レーザーにより発毛の司令塔といわれるバルジ領域を破壊する方法です。一方、熱破壊式は出力の高いレーザーにより毛乳頭細胞・毛母細胞を破壊する方法です。毛の素となる部分を破壊するため高い脱毛効果が得られます。また時期を分けて繰り返すことで、毛周期のずれにも対応し永久脱毛も可能となります。このように、レーザーの種類や波長を使い分けることで、産毛から太い毛まで様々な毛に対応できます。
〈エステ脱毛〉
エステ脱毛は医療脱毛と違い、発毛組織をつぶすような強出力の機器の使用は認められていません。回数を重ねることで発毛組織を弱らせ結果的に生えにくくしていきます。基本的には、減毛や抑毛が主な目的です。
脱毛器の用途を知ろう
脱毛効果を得たいなら脱毛器の違いは知っておくべし!今回はよく使用される4つの機器分類を紹介します。クリニックごとに置いている機器が異なるため、これを参考に最適なクリニックを選んでみましょう。
光脱毛器〈IPL:Intense Pulsed Light〉:主にエステ脱毛
様々な波長の色を出す光脱毛器。表層の毛に反応し、医療脱毛に比べると威力が弱く効果は劣る。しかし、各色にまんべんなく効果があるため、減毛・抑毛効果と併せて赤ら顔やクスミ感等に悩みがある人にはエステ効果も期待できる。
熱破壊式〈アレキサンドライトレーザー〉:医療脱毛
黒色に強くレーザーの波長がヤグレーザーに比べて短いのが特徴。表層の毛母細胞・毛乳頭細胞に反応。表層に焦点があるため色黒の方や日焼けした人はやけどリスクが高いので使用不可。
熱破壊式〈ヤグレーザー〉:医療脱毛
黒色に強くレーザーの波長が長いため深層の毛母細胞・毛乳頭細胞まで届くのが特徴。威力も強力。上記2つでは届かない深層の毛根がある太い毛などにも強く反応。
蓄熱式〈ダイオードレーザー〉:医療脱毛
低出力レーザーでバルジ領域を破壊するため痛みが弱いことが特徴。熱破壊式に比べて効果を感じるまでに時間がかかり、効果もやや小さい。
まとめ
脱毛選びで大切なことは、自身の毛の状態や求めるゴールに合わせて方法を選ぶことです。知識があれば、多くの選択肢から自分にあった最適な方法を見つけられます。次週は、脱毛特集第2弾!「脱毛はいつ始めたらいいの?」「どういうクリニックを選ぶべき?」など、美容医療に従事している松﨑先生にあれやこれやと聞いてきました!脱毛初心者も経験者もためになること間違いなしです。