実はこんなにかかる!出産までに必要な費用ってどれくらい?

2024.08.30

妊娠したことでこれからわが子に会える楽しみや希望を抱くと同時に、今後どれくらいお金がかかるの?と心配になる人も少なくないと思います。実は筆者も9月に出産を控えた妊婦の一人です!初めての出産ですので、誰に何を聞けばいいのか、どういった制度があるのかと毎日にように調べています…。そんな方々のために、今回は妊娠から実際に出産するまでにかかる費用について、助産師監修のもと紹介していきたいと思います!

この記事を監修した人

森ノ宮医療大学 助産学専攻科 専攻科長

教授/看護師・助産師  中西 伸子 先生

兵庫大学、奈良県立医科大学を経て森ノ宮医療大学就任。助産師の教育にエネルギーを注ぐと同時に助産師会に所属し、東大阪班の班長として地域の母子支援にも尽力。2023年には大阪府看護事業功労者として表彰される。地域の妊産褥婦の方に寄り添うとともに母子とその家族の支援に携われる助産師を育てている。

妊婦健診の費用

産婦人科等で妊娠確認ができると、出産まで標準で14回以上の妊婦健診を受けます。住所がある地方自治体に妊娠の届出をすると、母子手帳が交付され、その際に妊婦健診にかかる費用が補助される補助券(受診券)をもらうことができます。全国どこの地方自治体でも14回分は必ず補助券が渡されますが、補助額は地方自治体によって差があり、まったく費用がかからないというわけではありません。その他、保険診療を行う場合は別途診療費やお薬代がかかります。現在筆者も妊婦健診に通っていますが、私の自治体では数千円~1万円以上の補助券が16回分支給され(多胎の場合はそれ以上)、健診の内容によってその時使う補助券を病院側が選んでくれます。おかげで毎回数百円~数千円の負担で済んでいます!でも妊婦って、重度の悪阻で入院したり、貧血になって鉄剤を処方されたり、健診費用以外にも案外お金がかかることがあります。

出産(分娩)、入院にかかる費用

出産費用といっても病院の種類や出産方法によっても金額が異なります。正常分娩※にかかる費用を厚生労働省が発表していますが、公的病院のほうが私的病院より費用が安くなっています。私的病院は多様なニーズに対応するため、サービスや施設が充実していることが多く、その分費用も高くなる傾向があります。筆者が出産する予定の病院は私的病院ですが、原則個室だったり、産後にエステや豪華な食事が用意されていたりします。楽しみな一方、請求書を見るのが怖いですね…

【正常分娩にかかる費用】

全国平均 482,294

公的病院の平均 463,450

私的病院の平均 506,264

診療所・助産院の平均 478,509

引用:厚生労働省保険局「出産費用の見える化等について」P.23 令和5年9月7日 出産費用の状況

※正常分娩とは:妊娠満37週以降~満42週未満の正産期に、自然に陣痛が発来し順調に経膣分娩(膣からの分娩)が進行して、正常な回旋(前方後頭位)の頭位で赤ちゃんが生まれてくることを指します。また、正常分娩の定義には、母児ともに障害や合併症などが残らないということも含まれます。これに該当しない分娩を異常分娩とします。

帝王切開や吸引分娩など異常分娩となった場合、その内容にもよりますが保険が適用されることがあり、費用としては安く済むこともあります。その他、日本でも増えてきている無痛分娩を希望する場合、麻酔により痛みを和らげるため、別途1020万円程度プラスで費用がかかります。

大丈夫!こんな助成制度があります

【出産一時金】

こんなにかかるんだ…と驚かれた方もいると思いますが、出産費用に関しては、日本の公的医療保険制度の被保険者が出産すると、「出産一時金」として50万円が支給されます。2023年4月に、42万円から50万円に引き上げられました。度々ニュースでも取り上げられていますが、現在政府では2026年度から正常分娩での出産費用を保険適用として、自己負担をなくすことが検討されています。出産費用の無料化はかなり大きいですね!

【出産手当金】

また、妊婦が職場に申請すれば、産前6週間と産後8週間(職場によってはそれ以上)休業することが出来ます。この期間の生活を保障するため、「出産手当金」といって、健康保険の被保険者が出産により仕事を休んだために、事業主から報酬が受けられない場合に支給される手当金もあります。支給額は加入している健康保険組合等で異なりますが、概ね1日あたり賃金の2/3相当が支払われます。

実は他にもかかるこんな費用

個人差がありますが、妊娠すると日々変化する体型や体調に合わせてマタニティ用品を準備する必要があります。例えば、胎児を冷えから守り、重くなったお腹を支える腹帯や、下着や衣類などのマタニティウェアです。出来る限り購入しないで済ませたいと思っていた筆者も、妊娠中に仕事をしていると今までの仕事着では苦しくなったりして、いくつか購入しました。

また、ベビー用品も出産後すぐ使用するものもたくさんあるため、出産前に購入しておく必要があります。おむつや肌着、寝具などが代表的なものです。ベビー用品は可愛くてついついたくさん買ってしまいそうになりますが、結局使わないものもあるので、買いすぎに注意ですね!地方自治体によっては、出産応援金が給付されるところもあるみたいなので、調べてみてください。

最後に~助産師からのメッセージ~

今妊娠されてる方、これから子どもを持ちたいと考えてるご夫婦、妊娠・分娩・出産・育児と不安は尽きないと思います。費用のこともぜひ知っておいてください。ご自分の住まれてる市町村の支援を自分で調べることもとても重要です。妊娠から産褥まで切れ目のない支援に向けて制度が整ってきていますが、産後ケアなど申請しないと利用できないものもあります。そしてあなたのそばに助産師がいます。助産師会のホームページを見ていただいてぜひご相談ください。(中西伸子)

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