キャッチアップ世代の無料接種は〆切間近!HPVワクチン接種体験レポート

女性の子宮頸がんを予防するため、小学6年生~高校1年生相当の女子が公費で定期接種できるHPVワクチン。実は現在、定期接種の時期に国からの積極的な接種呼びかけが停止されていたため接種を逃したキャッチアップ世代(平成9年~19年生まれ)の女性も無料でHPVワクチンを接種できるんです!

実は筆者も定期接種を受けそびれたキャッチアップ世代の一人。推奨されている接種間隔で接種を実施できる20249月が迫っているため、今回駆け込みで1回目接種に行ってきました。この記事では、医師監修のHPVワクチンに関する概要とワクチン接種の体験レポートをお伝えします。 

この記事を監修した人

森ノ宮医療大学学長/医師 青木 元邦 先生

大阪大学医学部卒、医学博士。専門は循環器学、老年病医学、分子生物学。大阪大学医学部附属病院、米国ハーバード大学医学部ブリガム&ウイメンズ病院などに勤務後、大阪大学大学院医学系研究科准教授、森ノ宮医療大学保健医療学部教授を経て、2021 4 月より現職。

実は男性にも効果ありHPVワクチンとはどんなもの?

HPVワクチンを接種すると、主に性交渉によって皮膚や粘膜に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防することができます。HPV200種類以上ありますが、子宮頸がんを起こしやすい型はその中のごく一部で、現在広く接種されている9価ワクチンは子宮頸がんの原因の8090%を占めるHPVの感染を予防することができます。

実はこのHPV、子宮頸がんだけでなく中咽頭がんや肛門がんなど男性もかかるがんにも関わっているといわれています。そのため公費の補助はありませんが、HPVワクチン接種は男性にも有益です。

接種呼びかけがされなかった期間があるのはなぜ?HPVワクチンのメリット・デメリット

日本国内では、年間10,000人以上の女性が子宮頸がんを発症し、2,000人以上が亡くなっています。また、子宮頸がんを発症する女性のほとんどはHPVワクチンを接種しておらず、感染を防げなかった結果発症している方が大多数です。

それにもかかわらず、20132021年に国からの積極的な接種の推奨が差し控えられていたのは、接種した部位以外の継続的な痛みやけいれんなどの副反応がメディアで大きく取り上げられたことを受け、安全性について検証を行い適切な情報提供体制を整えていたためです。専門家会議でワクチン接種の有効性が副反応のリスクを上回ると認められた2021年からは、再び市町村による積極的な接種の呼びかけが義務付けられています。

調査によると、女性が子宮頸がんとなる割合1)2)1万人中132人で、内9割が子宮摘出など身体を傷つける治療を行っているのに対して、HPVワクチンにより失神を含めた重い症状を発症する割合3)1万人中5人で、内9割が回復しています。

ワクチン接種による副反応を知っておくことはとても大切ですが、重篤な副反応の可能性と子宮頸がんを発症する確率を天秤にかけた時に、ワクチン接種をするメリットの方が大きいと考えられるため、前向きに接種を検討していきましょう。

HPVワクチン接種体験レポート

キャッチアップ世代の筆者が実際にHPVワクチンを接種してきました!接種するまでの手順と接種した感想をお伝えします!

①在住している市町村のホームページでワクチン接種の必要情報を確認する

接種に必要な持ち物や接種できる医療機関をチェックしましょう。筆者が住んでいる市では、母子健康手帳または健康保険証など住所・氏名・生年月日が確認できるものと、事前に印刷・記入した予診票の持参が必須でした。

②医療機関でワクチン接種を受ける

予約が必須な医療機関も多いため、事前にウェブで情報を確認しておきましょう。またHPVワクチンは筋肉注射のため、利き手と反対側の手の肩に近い位置に打たれます。そのためワクチン接種で医療機関に行く際には、必ず肩が出やすい服装かどうか確認してください!(筆者は肩が出にくい服装で行ってしまったため、医療機関にわざわざ服をお借りしなければならず、ご迷惑をかけてしまいました...)
受付で予診票などを渡すと、まず医師の問診を受けます。その後ワクチンを接種し、接種後は15分から30分程度病院内で安静に過ごします。現在普及している9価ワクチンであれば、15歳未満で1回目を接種した人は2回、15歳になってから1回目を接種した方は3回接種を行う必要があるため、帰り際に2回目接種の予約をしておくと安心です。

【接種後の感想】

HPVワクチンは他の注射よりも痛い」と聞いていたこともあり少し不安な気持ちで接種に臨みましたが、医師・看護師の方々が丁寧に説明してくださったので、リラックスして受けることができました!
実際は薬剤が体内に入ってくる際に痛みを伴い、また接種後5分程度は患部周辺が少し痛みましたが、その後は腕に触れなければ痛みを感じることはありませんでした。幸い私は発熱することもなく、心配していた程の副反応ではなかった印象です。
☆副反応には個人差があります。事前にワクチン接種のリスクを理解した上で接種を行いましょう。

まとめ

キャッチアップ世代(平成9年~19年生まれ)の女性へのHPVワクチン接種公費補助は、20253月で終了します。ワクチンは3回接種する必要があり※、推奨されているスケジュールで接種を行うためには20249月までに接種を行う必要があるので、まだ1回目接種が完了していない方はお急ぎください。
またこの記事を読んでHPVワクチン接種の重要性を感じてくださった方は、ぜひ周囲の方々にも伝えてあげてください。あなたの呼びかけが命を救うかもしれません!
15歳未満で9価ワクチンの1回目を接種した方は2回接種する必要があります。

出典:
1)厚生労働省 HPVワクチンに関するリーフレット(令和6年)「小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」
2)日本産科婦人科学会雑誌.2020;72(6):676-683
3)第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会.副反応追跡調査結果について

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